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右膝大けが乗り越え笑顔でパリ切符 岡慎之助「本当に耐えてきて良かった」名前は巨人指揮官から

2024年05月20日 04:30

体操

右膝大けが乗り越え笑顔でパリ切符 岡慎之助「本当に耐えてきて良かった」名前は巨人指揮官から
<体操NHK杯4日目>優勝を飾り喜びを爆発させる岡(撮影・岡田 丈靖) Photo By スポニチ
 【体操 NHK杯最終日 ( 2024年5月19日    群馬・高崎アリーナ )】 パリ五輪代表最終選考会を兼ねて男子個人総合2回目が行われ、岡慎之助(20=徳洲会)が初優勝を飾り、初代表に決まった。4月の全日本選手権での得点を持ち越して2日間演技し、この日は6種目合計10位の84・531点ながら合計342・727点で逃げ切った。2位の萱和磨(27=セントラルスポーツ)、チーム貢献度で杉野正尭(25=徳洲会)と谷川航(27=セントラルスポーツ)も五輪出場を決めた。既に代表に決まっていた東京五輪2冠の橋本大輝(22=セントラルスポーツ)は今大会をケガで棄権した。
 重圧から解き放たれ、岡は笑った。花の都行きの懸かった最後の鉄棒。大きな軌道を描き、着地も美しく決まった。「うれしい。ホッとしている。でも、まだ通過点」。これまで感じたことのないような高揚感が湧き起こった。

 大会前に腰痛を発症。落下したあん馬、倒立姿勢が乱れた得意の平行棒で得点を伸ばせない中、リハビリ中に鍛えたつり輪で全体4位と奮起。鉄棒でも全体4位と地力の強さを見せて逃げ切った。「感じたことないくらい緊張があった。いつも通りやり切るだけだった」と振り返った。

 岡山市出身で、中学卒業後に神奈川県が拠点の社会人チームに入った異色の経歴の持ち主。19年世界ジュニア団体&個人総合2冠で将来を嘱望されたが、22年全日本選手権の跳馬で右膝前十字じん帯完全断裂で全治8カ月の大ケガを負った。復帰までの1年は地道な努力の日々。肺活量を戻すため、患部を固定したままあん馬旋回を連続50回からのロープ上りをひたすらこなした。「きつい道のりだったけど、ケガしてもここまで来られることを証明できた。本当に耐えてきて良かった」と実感がこもった。

 名前の由来は父・泰正さん(44)がファンだったプロ野球巨人の阿部慎之助監督から。「スーパースターになってくれ」という父の思いを実現する夢舞台がパリで待っている。団体、そして個人総合でも金メダルを狙える新鋭は「(個人では)橋本選手に勝ちたい」ときっぱり。強い気持ちで大舞台に向かっていく。 (大和 弘明)

 ◇岡 慎之助(おか・しんのすけ)2003年(平15)10月31日生まれ、岡山県出身の20歳。神奈川・星槎国際横浜高出、星槎大3年、徳洲会。19年世界ジュニア選手権で団体総合、個人総合2冠。22年の全日本選手権で右膝前十字じん帯断裂。今年4月の全日本で初の表彰台となる2位。1メートル58、58キロ。

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