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若きアスリートを支援する「アスバンプロジェクト」第一期合格者にインタビュー

2024年07月16日 12:00

スポーツ

若きアスリートを支援する「アスバンプロジェクト」第一期合格者にインタビュー
(左から)青栁未愛選手、ケーダッシュセカンドの小柳崇氏、三島遊選手 Photo By スポニチ
 スポーツ関連事業を手掛ける「ケーダッシュセカンド」が、将来のスポーツ界を担う若きアスリートをサポートするプロジェクト「アスバンPJ」を立ち上げた。5期に分けて最大50人のアスリートを募集、既に3期までの支援が始まっており、現在第4期を募集している。1人につき年間60万円の支援金が支給され、期間は最大5年。マネジメント契約の道もあり、注目のプロジェクトとなっている。立ち上げの経緯に加え、実際にサポートを受けているアスリート2人とケーダッシュセカンドの小柳氏に話を聞いた。 【「アスバンプロジェクト」の詳細や応募はこちら
 
 アスバンPJの合格者には、既に世界の舞台に飛び出している選手がいる。1期として4月からサポートを受けているスポーツクライミングの青栁未愛さん(20)、カヌースラローム・カヤックシングルの三島遊さん(21)もW杯などの国際大会への出場経験を持っている。

 世界大会に出場できるのは限られたトップ選手だけ。周囲に応援してくれる人々が多数いても、所属契約などがなければトップ選手であっても金銭面で苦労するケースがある。そんな中学生以上25歳未満のアスリートをサポートしているのがアスバンPJだ。

 スポーツクライミング、カヌースラロームともに練習するためには施設利用料がかかる。青栁さんは支援金をジムの使用料などに充てていて「より競技に専念できるだけでなく、サポートしてもらっているという自覚を持つことで日々集中して取り組めている」という。三島さんも支えられていることに感謝しながら練習、競技に打ち込んでおり「安心して自分の夢に向かっていると実感する」と語った。

 ケーダッシュセカンドは、ただ単に金銭面の支援をするのではなく、それぞれのアスリートが今のレベルを理解し、目標が明らかになっているかどうかも重視している。そのため、合格者は1カ月ごとに活動内容の報告が義務づけられている。青栁さんは「1日の練習を振り返ることはあったのですが、1カ月単位で振り返ることで有意義な活動ができている」と報告によって競技への向き合い方も変わってきている。

 2人とも関係者の紹介でアスバンPJを知った。今では若手アスリートの間に口コミで広がり、募集人数は増加傾向にある。三島さんは「スポーツへの思いが熱いと感じて応募しました」と明かした。

 真摯(しんし)に練習に取り組む先にあるのが大きな夢だ。青栁さんは「ボルダー(ボルダリング)のW杯で優勝すること」と誓い、三島さんは「五輪で金メダル」と見据えた。2人に共通しているのは、結果を出すことでそれぞれの競技を盛り上げていきたいということだ。

 スポーツには「主体性」「多様性」「発想力」など、これからのキャリアに通じるさまざまな効果がある。さらに、見ている者には感動を与え、人を魅了する力がある。アスバンPJのサポートを受けたアスリートがどのように変わって、スポーツ界がどう発展していくのか。期待は高まるばかりだ。

 ケーダッシュセカンドの代表である小谷野宗靖氏は、父が元プロ野球選手で、自身も高校まで野球に打ち込んでいた。「今の生活があるのはスポーツがあったから」という思いがあり、警備会社の社長だった頃からスポーツのスポンサーなどを行っていた。代表が50歳を迎えたのを境に「スポーツ界に恩返ししたい」と言う思いから、ケーダッシュセカンドで本格的にスポーツ事業に着手した。

 同社スポーツマネジメント部の小柳崇部長は社会人まで野球を続けたが「お金に余裕が持ててきたのは道具支給もあった社会人から。大学までは特にお金がかかる」と実感している。その中で「経済的側面で次のステップに進めない子どもたちを見てきた」という。「そんな子どもたちが次のステージで活躍する礎になれば」という思いからプロジェクトが立ち上がった。

 7月から3期のアスリートのサポートが始まったが、ここには338人が応募するなど、支援を求めているアスリートは少なくない。将来有望な選手が多いが、実績のある選手だけを求めているわけではない。「大会で活躍するのが望ましいが、燃え尽きるまでやってほしいというのが本心」と小柳氏。そのため、将来のビジョンが描けていることや礼儀正しさなども採用基準となっている。

 「アスバン」は〝明日に挑むあなたを応援するアスリート伴走型プロジェクト〟を意味する。ケーダッシュセカンドは若きアスリートとともに、スポーツ界の発展を目指していく。

 ◇青栁 未愛(あおやぎ・みあ)2003年(平15)8月26日生まれ、東京都出身の20歳。日大3年。父に誘われ小2で自宅近くのジムでスポーツクライミングを始める。22年5月のW杯ソウル大会でボルダー6位。23年の国体は成年女子のボルダー&リードで優勝。

 ◇三島 遊(みしま・ゆう)2002年(平14)8月10日生まれ、東京都出身の21歳。日体大4年。東京・青梅市のスポーツ体験でカヌーに触れ、小1で競技を開始。21年からW杯に参戦。ジャパンカップは過去2勝。23年度カヌースラロームナショナルチームB指定選手。

 ○…ケーダッシュセカンドはアスリートマネジメントも手掛けており、グループ会社「WIN AGENT」は昨年3月からスポーツクライミング男子の安楽宙斗(17=JSOL)とマネジメント契約を結んでいる。安楽はその後、ボルダー&リードの複合種目でパリ五輪出場権を獲得。「一つのことに打ち込むタイプなので競技以外のことなどいろいろとサポートしてもらえるのは心強い。おかげさまでさらに強くなってきていると感じていて、自分の目標に対して着実に進めています」とコメントしている。

 ○…4月からラジオ番組「輝く未来のアスリート アスヤン!~若いアスリートを全力応援~」(ニッポン放送、毎週月曜午後9時~)が放送されている。アスバンPJがサポートするアスリートが登場し、競技の専門家とともに熱く語る。番組内ではアスリートフードマイスターによる出演アスリートへ向けたパフォーマンスを最大化するためのレシピ紹介も行われる。パーソナリティーは荘口彰久氏。

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