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高校恩師が語る北口榛花伝説「明らかに勢いが…」先輩を負かせたキャッチボール

2024年08月11日 10:30

陸上

高校恩師が語る北口榛花伝説「明らかに勢いが…」先輩を負かせたキャッチボール
旭川東高陸上部で北口榛花を指導した松橋昌巳さん Photo By スポニチ
 女子やり投げ決勝で、23年世界女王の北口榛花(JAL)が、日本女子のトラック・フィールド種目で日本初の金メダルを獲得した。1投目に65メートル80の今季自己ベストをマーク。得意の逆転劇ではなく、あざかやな先行逃げ切りで偉業を達成した。
 北口がやり投げと出合ったのは、高校時代だった。旭川東高で陸上部顧問だった松橋昌巳さんは、入学式で初めて見た衝撃が忘れられない。「体が大きいし、肩幅もある。身体能力も高い」。そんな北口は水泳やバドミントンに打ち込み、高校からはクラブチームで水泳に専念する予定だった。ダメ元で陸上部に誘い、北口は「水泳と両立やってもいいならなら」と返答して入部した。

 練習を見ると、全てが規格外。当時やり投げを専門にしていた先輩とのキャッチボールは北口伝説と言っていい。キャッチボールの距離をどんどん離していくと、ひょうひょうと投げる北口とは対照的に明らかに先輩が厳しい表情でボールを投げている。「男子並みでした。北口が優勢になり、明らかに勢いが違った」。天性の肩の柔らかさを物語る。

 水泳との両立のため、練習参加はまばら。それでも、入部から1カ月あまりで迎えた6月の道大会では、やり投げで大会記録を上回る45メートルを投げて北海道で優勝。「才能以外の何物でもない。本人もビックリ。周りも“何だ、こいつ”と」。秋の日本ユースでの好成績をきっかけに、陸上一本に絞った。全国総体を制した高2で日本陸連の「ダイヤモンドアスリート」に認定。一気に才能を開花させた。

 高校3年次、松橋さんにとって忘れられないシーンが夏の全国高校総体。優勝を果たした世界ユース選手権の2週間後に強行出場して連覇を成し遂げた。それでも「表彰で戻ってきた時、泣きながら戻ってきた」。世界ユース女王として勝てた安堵(あんど)ではなく、大会記録を出せなかったことに対する悔し涙だったという。当時から高い目標を設定し、それに向かって突き進み続けた北口らしい真っ直ぐな性格の表れるエピソードだった。

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