ダルで王手!4回12人斬りノーヒット46球

2009年03月06日 06:00

野球

ダルで王手!4回12人斬りノーヒット46球
<日本・中国>力投するダルビッシュ有
 侍ジャパンが連覇に向けて船出した。16の国・地域で世界一を争う、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が5日、世界のトップを切って日本で開幕。原辰徳監督(50)率いる日本は中国相手に4―0で勝ち、2次ラウンド進出に王手をかけた。先発のダルビッシュ有投手(22)は4回を無安打1四球とほぼ完ぺきな内容。6人の継投で二塁を踏ませなかった。日本は6日の韓国―台湾の勝者と7日に対戦。勝てば2次ラウンド進出が決まる。
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 ダルビッシュの重圧を取り除いたのは2球目だった。初球の148キロは力んで低めに沈んだ。続く2球目、内角への直球に先頭の孫嶺峰は力ない投ゴロに倒れた。本大会で初めてストライクゾーンに投じた1球こそ、ダルビッシュの快投を呼び込む大きな1球だった。
 「初回いきなりヒットを打たれるんじゃないかと悪いイメージがしていた。大事な試合ではいつもそうなんですよ。今回もそうだと思っていた。でもすんなり終わってくれて本当に良かった」
 この1球、球速は144キロしか出なかった。それでも相手はバットに当てるのが精いっぱいだった。「国際大会になるといつも力みすぎる。もっと楽に投げればいいんですよね。でも力を抜くのは正直不安です」。手探り状態の中で、力よりも切れで勝負する意識になれた球だった。それを証明するようにこの日の最速は149キロ。150キロ台を連発していた強化試合とは明らかに違った。「とにかく軽く投げようと思った。いつも通り日本で投げているように投げられた」と笑った。
 3回まで直球、スライダー、ツーシームの3球種しか投じなかった。スライダーも不安の残る縦のスライダーでなく、横のスライダーで勝負した。4回こそカットボールを交えたがフォークは1球のみ。カーブ、チェンジアップは投げなかった。本人は「ファウルの後にカーブを投げようと思った(場面はあった)けど、その前に終わった」。8つある球種を全部使わずに相手をノーヒットに抑え込んだ。すべてを自在に操る必要はない。それも滑るWBC球への答えだった。
 北京五輪でエースに指名されながら1勝もできず「もっと上にいかなきゃいけない」と話した。だが、この1勝でもう平常心の投球ができる。ストライク率は約59%と6割を切ったが「僕はもともとカウント球は安定しないので」と一蹴。ふてぶてしいまでのダルビッシュ本来の姿が戻った。
 原監督は「投手陣がスキのない投球をしてくれた。特にダルビッシュ。非のうちどころがなかった」と称えた上で「きょうの収穫は50球より少なくダルビッシュを降ろせたことだ」とした。大会規定で50球未満なら中1日で登板可能だ。2次ラウンド進出がかかる第2戦以降で“切り札”に回せるとともに、第4戦にもつれ込んだ場合の先発まで可能となり、ダルビッシュは「最後の試合で投げる準備をします」と覚悟を示した。
 「大事な試合を任されたのでチームメートに不安を与えないピッチングをしたかった」。誰よりも不安を抱えていた右腕がつかんだ自信。それこそ、連覇を狙う日本にとって最高の収穫だった。

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