野球の言魂(コトダマ) ソフトバンク・サファテ編

2018年06月30日 10:00

野球

野球の言魂(コトダマ) ソフトバンク・サファテ編
甲斐とタッチするサファテ Photo By スポニチ
 【君島圭介のスポーツと人間】ソフトバンクのデニス・サファテ投手(37)は、同僚やファンから人間性を称えられる。NPBで監督を、と望む声も多い。その発言はサファテの人間性と同様に含蓄がある。
 「キャッチャーの話をしっかり聞いて、配球を理解しなさい」

 これはサファテが6月末に新入団したヤクルトのウルキデス投手に対する助言だ。今年4月に股関節の手術を行い、現在は米アリゾナ州の施設でリハビリ中だが、そこで日本行きが決まったウルキデスと知り合ったという。同じアリゾナ州立大出身で、2人はすぐ意気投合した。

 「日本で成功する秘訣は?」と聞かれ、NPB通算421試合で229セーブを積み重ねてきた右腕は、日本人捕手の考えを尊重することを説いた。

 米球界では基本的に配球は投手の意見が尊重される。捕手に優先されるのは強肩であることやボールを後ろに逸らさない能力。一方で日本の捕手はリードのうまいことが重要とされる。逆の言い方をすれば、日本の捕手は配球に強いこだわりを持って日々勉強しているということだ。サファテのアドバイスは、日本の野球を理解するためには捕手から学べばいいことを伝えている。そして、捕手をリスペクトし、コミュニケーションを取ることが成功の絶対条件と教えている。

 サファテは、こう続けたという。

 「その国に行ったらその国の文化を理解して、尊重するのが成功の秘訣だよ」

 捕手と息が合わず、すぐ苛ついた様子を見せる外国人投手が日本で長く成功した例は少ない。おそらく世界中の野球リーグでプレーする選手の中で、日本の捕手が最も配球を研究しているだろう。その頭脳に刻まれているのは監督、コーチ、スコアラーの英知の結晶であり、捕手自身の貴重な経験の蓄積だ。サファテがウルキデスに送った助言はまさにそのことを伝えている。(専門委員)

 ◇君島 圭介(きみしま・けいすけ)1968年6月29日、福島県生まれ。プロ野球やJリーグのほか、甲子園、サッカー選手権、花園ラグビーなど高校スポーツの取材経験も多い。現在はプロ野球遊軍記者。

おすすめテーマ

2018年06月30日のニュース

特集

野球のランキング

【楽天】オススメアイテム
`; idoc.open(); idoc.write(innerHTML); idoc.close(); });