【秋田】上背なくても…“みちのくの桑田”金足農・吉田150キロ16K完封

2018年07月16日 05:30

野球

【秋田】上背なくても…“みちのくの桑田”金足農・吉田150キロ16K完封
<金足農・秋田>9回3安打16奪三振で完封した金足農・吉田 Photo By スポニチ
 【第100回全国高校野球選手権記念大会秋田大会2回戦   金足農2―0秋田北鷹 ( 2018年7月15日    こまち )】 桑田の再来だ。今秋ドラフトで1位候補に挙がる金足農の吉田輝星(こうせい)投手(3年)が15日、第100回全国高校野球選手権記念大会秋田大会2回戦の秋田北鷹戦に先発し、夏初戦を完封勝利で飾った。目標の150キロに初めて到達。散発3安打で毎回の16三振を奪う圧巻の投球だった。古豪復活を目指しU―18日本代表候補のプロ注目右腕が強烈な輝きを放った。
 右腕から汗が飛び散り、次の瞬間、電光掲示板に「150」が表示された。2回2死一塁、吉田が投じた4球目だった。ファウルにされたが、147キロだった自己最速を3キロ更新する球速に「場内がどよめいて、気持ち良かった。150キロは大会前の目標としていたので素直にうれしい」と笑みを浮かべた。

 身長1メートル76、体重82キロ。上背はなくても、がっしりとした体を大きく使い、鋭く腕を振る。視察した日本ハムの白井康勝スカウトは「投手としてのセンスが高い。桑田さん的なタイプ」と評した。PL学園で夏に2度全国制覇し、巨人のエースとして活躍した桑田真澄も1メートル74だ。吉田は言う。「切れとコントロールを意識して、しっかりとしたフォームで投げれば球速は出る」。春の東北大会後に行われた1週間の校内合宿では短距離ダッシュを毎日1時間繰り返し、下半身を鍛えた。

 甲子園出場は親子2代にわたる悲願だ。父の正樹さん(42)も金足農のエースとして活躍。92年と93年夏の秋田大会ではいずれも決勝戦で敗退し、甲子園の夢はかなわなかった。息子の吉田自身も昨夏の明桜との決勝戦で敗退。2年生エースは先発したが、5回2/3を5失点で敗戦の責任を一身に背負った。

 「昨年は自分が打たれて負けたので覚悟を持って戦いたい」。悪夢を振り払うように、昨季決勝で敗れたこまちスタジアムで躍動した。初回、先頭を147キロ直球で空振り三振に仕留め、勢いに乗った。最後の打者も145キロで空振り三振。毎回の16三振を奪い「ツーストライクになったら無駄球を投げずに三振でいこうと思った。昨夏は初回に適時打を浴びたので、立ち上がりは意識した」。全イニングで最後の打者から必ず三振を奪った。

 2得点に終わった打線に対し、完封したエースは「打てないときは、自分が1点を守り切ればいい」と力強く言った。古豪・金足農は07年を最後に夏の甲子園から遠ざかる。みちのくのドクターKが名前のように輝く星となって、11年ぶりの甲子園へ導く。 (武田 勇美)

 ☆桑田真澄 PL学園では1年夏からエースを務め、4番・清原和博とともに「KKコンビ」として活躍。5季連続甲子園出場を果たし、1年と3年夏に優勝投手となった。2年春夏が準V、3年春が4強入りと全大会で好成績を残し、戦後最多となる甲子園通算20勝をマーク。85年にドラフト1位で巨人に入団し、通算173勝。

 ≪吉田 輝星(よしだ・こうせい)≫

 ★生まれ 2001年(平13)1月12日生まれ、秋田県潟上市出身の17歳。1メートル76、82キロ。右投げ右打ち。

 ★球歴 父の影響で小学3年から天王ヴィクトリーズで野球を始め、小学5年から投手一筋。天王中では軟式野球部に所属し、県ベスト4。金足農では1年夏からベンチ入りし、2年からエース。昨夏の秋田大会では決勝で明桜に1―5で敗れる。今春の県大会では優勝。

 ★ノーヒットノーラン 昨秋の地区予選では秋田工戦で10三振を奪い、5回参考ながら無安打無得点試合を記録。

 ★趣味 音楽を聴くこと。特に「三代目 J Soul Brothers」がお気に入り。この日の試合前も映画「HiGH&LOW THE MOVIE」の主題歌で気持ちを高めた。

 ★性格 中泉一豊監督いわく、「熱くなりやすいタイプ」。

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