全ての子どもに機会を!ポニーリーグ特有の取り組み、選抜優勝の筑後リバーズ・入部監督の視点で追う

2021年04月15日 15:32

野球

全ての子どもに機会を!ポニーリーグ特有の取り組み、選抜優勝の筑後リバーズ・入部監督の視点で追う
今春の選抜大会で好投した筑後リバーズの村上太一投手 Photo By スポニチ
 中学硬式野球のポニーリーグは沖縄県内で3月27日から29日の3日間、第5回全日本選抜中学硬式野球大会を開催し、筑後リバーズが3年ぶり2度目の優勝に輝いた。故障予防の観点から、1試合75球の球数制限を導入。1人でも多くの選手に出場機会を与えるため予選、準決勝はリーグ戦で行われた。ポニーリーグ特有の取り組みを、優勝した入部英徳監督の視点から追った。
 周到な準備の末に勝ち取った栄冠だった。筑後リバーズは5試合で5投手を駆使。入部監督は大会を振り返りつつ、手にした副産物も明かした。

 「3日で最大5試合という中で、投手はつくっていました。いろんな制約がある中での大会で、どのチームも投手のやりくりに苦しんだのではないでしょうか。ただ、ほとんど経験のなかった下級生の今村が決勝のマウンドに立ち、その姿を見て上級生が奮起した。今村の経験値も上がりましたし、こちらの彼に対する見る目も変わりました。選抜後は先頭に立って練習する姿勢も見えますし、そういう意味ではルールがあったからこその成長とも思います」

 新チーム結成後は村上太一がエースとして、チームを牽引してきた。2枚看板の一角を期待される山崎源太は肘の状態が芳しくなかったことから野手に専念。今春選抜は村上に加え、近藤慶次郎、井上愛渉、柿原玄、今村涼太郎の計5投手で戦った。決勝戦では上限いっぱいまでを、近藤が1失点の好投。5回2死満塁というピンチでスイッチされた今村が、2回1/3を無安打無失点に封じての全国制覇だった。

 ポニーリーグでは、これに先立ち19年10月に「SUPER PONY ACTION 2020」を制定。日本のスポーツ医学をけん引してきた慶友整形外科病院の古島弘三医師の指導に基づき、全学年を対象とした大会での投球制限を規定した。それぞれ1試合の投球数は(1)1年は60球で変化球禁止(2)2年は75球(3)3年は85球に設定。投手の障害予防はさることながら、多くの選手に登板機会を与えることまで考えたルールだった。そのルールを遵守し、有効活用したのが、筑後リバーズに他ならない。入部監督は続ける。

 「やはり、試合で経験を積まないと上手くはならない。接戦で起用するのが難しい選手がいたとしても、リードを大きく広げられれば控えメンバーも試合に出られます。そのことをレギュラーの選手もよく分かっていて、“みんなで野球を楽しもう”という結束の強さが予選リーグでの快勝、そして優勝につながった部分はあったと思います」

 今大会に登録されていた全20選手がグラウンドに立ち、貴重な経験を積んだ。一発勝負のトーナメントなら選手起用の幅は限定されてくるが、ポニーが運用するリーグ戦形式であればそのハードルはグッと下がってくる。

 かつて、協会の広澤克実理事長(本紙評論家)は「全ての子どもたちにチャンスを与えることができる協会、それがポニーです。野球に限らずスポーツは試合に出ないとうまくならない。試合に出ないことには成功も失敗もできないし、その中からうれしい、悔しいといった経験をたくさん積んでほしい」と語っていた。先発出場選手に限り代打や代走などで一度ベンチへ退いても、再び出場できる(投手の再登板をのぞく)リエントリー制度も特色の一つ。全てのプレーヤーに挑戦の機会が与えられる、それがポニーリーグの大きな魅力だ。 

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