ソフトバンク・甲斐 梅雨入り前に、間もなく“梅雨明け” カギ握る「守備は日本一」の男の打撃力

2022年06月01日 08:00

野球

ソフトバンク・甲斐 梅雨入り前に、間もなく“梅雨明け” カギ握る「守備は日本一」の男の打撃力
ソフトバンク・甲斐(撮影・中村 達也) Photo By スポニチ
 見た感じ、閉鎖的から開放的にはなってきた。ジメジメする梅雨時期から甲斐のバットがさらに快晴となるとみている。ソフトバンクに不可欠な女房役、甲斐拓也。5月31日時点で全50試合に出て打率・198、9打点。両リーグ最多18犠打と渋く奮闘する。リーゼントのDeNA・三浦大輔VS口ヒゲのソフトバンク・藤本博史による“見た目こだわり対決”で開幕した交流戦開幕前。ヒゲの指揮官は甲斐の打撃フォームに2度目の助言を加え、修正させた。
 「甲斐の打撃またようなったでしょ?(上を向く通天閣打法とは)また違うんです。また変えたんです」

 ペイペイドームの室内練習場。構える甲斐めがけ、えぐる内角球を投げ続けたという。ふところを広くする狙いがあった。「すべてインステップするからバットコントロールがしにくくなっている。ぶつけるくらいの球なのに手が出ない。インハイを追っ付けるいうことよ」。現役時代に逆方向への打球、右打ちが得意だった藤本監督は「神主打法」の強打者・落合博満氏のイメージを強く植え付けさせたかったという。

 「懐広く“どこでもいらっしゃい”の落合さんの感じ。構えは普通でオープンに。イン(ステップ)だと手が出ないから」。24日のDeNA戦。甲斐は左足を三塁側に置くオープンスタンスに変更。先発・今永らに挑み続けていた。結実こそこれからだが、変わった。

 1度目の修正は「通天閣打法」への助言だった。野球漫画で有名だがフライを高く上げるのではない。上半身がかがんでしまう構えの改善が狙いだった。甲斐は三振減のため、今季から徹底して右打ちを意識中。そのため平仮名の「へ」の字のように、ちぢこまり気味だった。藤本監督は「へ」の字を公園内にある遊具「シーソー」に例えて「ぎっこんばったん」と表現。主に練習でのロングティーで視線のズレを修正させ飛距離増と素直なスイングを意識させた。「最近は、ぎっこんばったん、せーへんから」と5月中旬には手応えも感じ取っていた。

 甲斐の素直な人間性もあり、藤本監督だけでなく実は打法を見た敵将までもが助言をくれていた。4月24日、札幌ドームの日本ハム戦の試合中。7番ガルビスが死球の手当中に新庄剛志ビッグボスがネクストバッターズサークルに向かおうとする9番打者に叫んでいた。「甲斐、胸、上げろ!」。自身のユニホームの胸部を手でなぞって背筋をピンとさせるポーズをしていた。不意に呼ばれた甲斐は「そうですね」と苦笑しつつ返していた。

 どこに球を要求すれば各打者が打ちにくいか―。定期的な打撃フォームの助言はリード面にも生きるとみて藤本監督は甲斐拓也の開拓を続ける。「甲斐のディフェンス力は日本一やから。千賀のフォークなんか甲斐だから止められるんやから」。揺るぎない盾(守り)の信頼があるからこそ、より鋭利な矛(攻撃)も求める。いつも遠慮なく、監督室のドアをノックしてくるのは甲斐だという。実直な女房役の細かな変化を、6月もお見逃しなく。(記者コラム・井上満夫)

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