愛工大名電・美濃「空から見ている親友の力を借りて」サヨナラ打 6月に急逝した瀬戸さんに届けた

2022年08月13日 04:08

野球

愛工大名電・美濃「空から見ている親友の力を借りて」サヨナラ打 6月に急逝した瀬戸さんに届けた
<愛工大名電・八戸学院光星>10回、打席で空を見上げる愛工大名電・美濃(撮影・岸 良祐) Photo By スポニチ
 【第104回全国高校野球選手権第7日・2回戦   愛工大名電6―5八戸学院光星 ( 2022年8月12日    甲子園 )】 愛工大名電は最大4点差をつけられながらも7回に追いつき、延長10回サヨナラ勝ち。前身の名古屋電気時代に工藤公康を擁し4強に進出した1981年以来となる夏の甲子園2勝を挙げた。
 見上げた青空に広がっていたのは白い雲。でもその先に、美濃十飛(しゅうと)の目には勝登(しょうと)の顔が見えた。

 「空から見ている親友の力を借りて打席に入ろうと思った」

 5―5の延長10回無死二、三塁。大切な“儀式”を終えると、フルカウントからの7球目を中前へきれいにはじき返した。サヨナラ打にこん身のガッツポーズ。「サヨナラの場面に回ってきて、本当に運がいい。不思議な力が乗り移った感じです」。同校のサヨナラ勝ちは春夏通じ、工藤公康を擁し4強入りした81年夏3回戦・北陽(現関大北陽)戦以来41年ぶり。夏2勝も同年以来で、記憶にも記録にも残る1勝となった。

 愛知大会でチームトップの打率・563だった美濃は6月、急性心不全で天国へ旅立った同級生部員の瀬戸勝登さんと、一番の親友だった。朝練後、朝食を取ってから毎日、並んで歯磨き。学校近くのコンビニへ行くのも、同じ外野手で守備練習をするのも、いつも行動をともにした。「いっしょにいないのが考えられない」。別れを受け入れるには時間がかかったが、共に戦うことには変わりない。三塁アルプスでは平野帆香マネジャー(3年)が背番号13のユニホームと瀬戸さんの写真を手に応援した。4点差を逆転する、見えない力をくれた。

 美濃は打撃が絶不調だった昨夏、YouTubeでOBのイチロー氏が「変化を恐れてはいけない」と言っているのを目にした。それを機に、右足を高く上げないフォームに変更。同氏が現役時代にやっていた、打席に入る前のゴルフスイングのような縦振りもルーティンに取り入れ、主力の座を勝ち取った。「(チームが)心をひとつにしてまとまっている」とは倉野光生監督。誰かのために戦う人間は強い。勝登とともに、頂点まで“勝ち登る”。(北野 将市)

 《初めて甲子園で4点差跳ね返す》7回表終了時に4点劣勢から逆転勝ち。4点差の逆転勝利は春夏通算44試合目で初。サヨナラ勝ちは81年夏の3回戦・北陽戦以来2度目。延長戦での勝利も同戦以来2度目。12年春の準々決勝では八戸学院光星(当時光星学院)に2―5で敗れており、通算1勝1敗。

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