【内田雅也の追球】「先攻」を生かすとき 今季ビジターで苦戦の阪神、受け身になってはやられる 

2023年06月25日 08:00

野球

【内田雅也の追球】「先攻」を生かすとき 今季ビジターで苦戦の阪神、受け身になってはやられる 
ベンチから戦況を見守る岡田監督(右)と平田ヘッドコーチ(撮影・岸 良祐)  Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   阪神0―2DeNA ( 2023年6月24日    横浜 )】 野球はわずかだが後攻が有利なスポーツだとされている。相手の出方によって動ける、守りからリズムをつくる……など理由はあろう。春夏の甲子園大会でも後攻の方が勝率が高い。
 特にプロ野球ではホームチームが後攻である。慣れている本拠地球場、さらに地元ファンの声援という後押しがある。
 今季の阪神もホームゲーム(甲子園、京セラ)で22勝11敗2分け、・667の高勝率である。いや、相手のDeNAはさらにホームで強く、この日の結果を加え22勝8敗1分け、勝率・733と異常なまでに高い。

 ビジターチームとしてこの有利不利を覆すには結構な力がいる。勝つためにはまず先攻という立場を生かしたい。
 「まずは先に点を取りたい」と敗戦後、ヘッドコーチ・平田勝男は言った。「何しろ先攻なんだから、初回から攻撃的にいって先に点を取りたい。何もいま、攻撃的でないとは言ってないけどね。もっと攻撃的に、と言うのかな」

 前夜に続き、この日も相手に先取点を奪われ、常に追う展開だった。

 平田が言う「ビジターでは先攻を生かせ」は監督・岡田彰布が語っていた考えでもある。

 岡田が初めて監督に就いた2004年のちょうど今ごろだった。23イニング連続無得点と貧打で連敗していた6月20日、巨人戦(東京ドーム)で、それまで3番に据えていた今岡誠(真訪=現打撃コーチ)を1番に起用。1回表先頭で投手強襲、打球が右翼に達する安打で口火を切り、先取点を呼んでいた。

 当欄の前身コーナー『猛虎戦記』で<「初回先頭」に懸けた新オーダー>と打撃コーチ・金森栄治の話などを盛り込んで書いていた。平田は当時もヘッドだった。

 「だからもう一度、1、2番に奮起してもらってね。明日はバウアーか。いい投球をされたから打てませんでした、ではあかんからね。何とか食い下がっていきたい。同一カード3連敗は避けたい。気持ちを切り替えて、攻撃的にいきたい」

 今季初の4連敗。交流戦明けのブレークがあって、白星は16日以降8日間、遠ざかっている。

 長く首位にいたからと言って、勝負事は受け身になってはやられる。挑み、向かっていく姿勢を忘れてはならない。

 今季ビジターで16勝15敗と苦戦する阪神だが、今こそ、先攻を生かす時である。=敬称略=(編集委員)

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