【鷹論】ソフトバンクが導入した、球界では異例の“働き方改革”の行方は

2024年05月07日 05:45

野球

【鷹論】ソフトバンクが導入した、球界では異例の“働き方改革”の行方は
ソフトバンク・小久保監督 Photo By スポニチ
 球界では異例の取り組みだ。ソフトバンクが今季から2~4軍のファーム組織で“働き方改革”を進めている。
 シーズンが始まれば試合がない日も移動が伴うなど、完全な休みはなかなか取れないのが実情だ。それが月1度ほどを目安に申告制で休日が取れるように制度化された。対象のメインはタマスタ筑後で2~4軍の選手を支えているトレーナーやブルペン捕手らチームスタッフ。休みの取り方によっては連休も可能になり、3連戦の2戦目などでも問題ないという。

 球団フロントは実施の意図について「選手がトレーニングの効率を上げるために食事や休息が重要なのと同じように、仕事のクオリティーを上げるために休みを取るのは重要なこと。さまざまな経験を通して自分の仕事を見つめ直すことができるという点もある」と説明した。

 これにより例えば子供の入学式や発表会などといった家族イベントへの参加も可能になる。リフレッシュを推進するものであり、温泉などで日頃の疲れを取ってもいい。野球界も変化が著しく、余暇を使って知見を広げてもらいたいという狙いもあるのだとか。

 もっとも、まだ始まったばかりの中、休みづらいという意見が多いのが現状だ。これまでの慣例とは大きく異なる上、他のスタッフにしわ寄せもいく。心情的な面でも申請しづらい。それに各自の責任感もある。米球界のマイナー組織などでスタッフ個々の休暇が当然のようにあることも参考にされているが、スタッフ増員も含めて環境づくりの必要性を挙げる声も出ている。

 チーム内の改革はこれとは別に小久保監督によっても進められている。月ごとの休日や日程が1カ月半前には分かるようになった。選手は治療などの予約を早めに取れるし、スタッフも休日の予定を組みやすくなった。また、2月の春季キャンプではトレーナー陣への働き方改革を実行。これまでトレーナーらによって夜遅くまで行われていた選手のケアが、夕食前にほぼ終わる流れをつくった。

 目標は休みを増やすこと自体ではなく、それが最高の仕事にもつながること。通年稼働する育成選手を多数抱える巨大組織でもあり、立場により意見はさまざまで一筋縄ではいかなさそうだが、今後の動向に注目だ。 (木下 大一)

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