井岡、4階級制覇ならず 36歳ニエテスに判定負け 激動の年、無念終戦
2019年01月01日 05:30
格闘技
「残念な気持ち。悔しい。1ミリたりとも油断できなかった。ジャブ一つもらえない緊張感があった。勝ちを信じていたが難しかった。今日は自分の日ではなかった」
さすがに世界戦18戦16勝無敗のニエテスは攻守ともにミスは少ない。3階級制覇王者同士の息詰まる攻防で勝敗が分かれた。
序盤は接近戦。しかし、ニエテスに分があるとみた陣営はアウトボクシングを指示した。中盤は井岡が優勢になる場面もあったが、ジャッジの判断も分かれた。「思っていた以上に老かいで、経験を感じた。倒しきれなかった自分が悪い」と、14年5月のアムナト・ルエンロン戦以来のプロ2敗目を受け止めた。現地に駆けつけた父の一法氏も「僅差で勝ったと思ったけど」と肩を落とした。
それでも4年半ぶりの黒星には収穫もあった。井岡が復帰戦を戦った米国の軽量級イベント「スーパーフライ(SF)」をプロモートしてきたトム・ローファー氏は「再戦の資格がある」と明言。ハイレベルな試合は、井岡の市場価値を下げるものではなかったと示唆し、3月末に開催予定の「SF4」に招へいする考えも変わりはない。
波瀾(はらん)万丈の一年でもあった。谷村奈南との披露宴を昨年2月に行ったが、11月には離婚。ボクシングでは17年の大みそかに引退会見し、昨年9月に現役復帰。激動の一年を4階級制覇では締めくくれなかったが、強敵と互角に戦った内容は評価される。
「単純に悔しいけど、こういう(強い)選手とやるために復帰した。(闘志は)ますます燃えた」。陣営は今後も海外を主戦とする考え。新たな闘志を心にともして、新年を迎えた。
▽ニエテス―井岡VTR 前に出た井岡は有効な打撃を欠いて競り負けた。接近して左右のボディーを交えて攻め、ニエテスはフック、アッパーなどカウンターで応戦。だが、ともにガードが堅く、決定打が出ないまま。終盤は井岡の圧力が弱まり、ポイントを奪えなかった。ニエテスは井岡の打ち終わりを的確に捉えた。後半は失速気味も堅守を生かしてペースを保った。
▼内山高志氏(元WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者)井岡が勝ったと思ったが、ジャッジによって採点が変わる試合だろう。ジャブの差し合いでは勝っていたが、ニエテスとはパワーの差があった。体格やパワーの強化はこれからでもできるし(現役を)続けてほしい。
◆井岡 一翔(いおか・かずと)1989年(平元)3月24日生まれ、大阪府堺市出身の29歳。大阪・興国高では6冠を達成。09年4月にプロデビュー。11年2月にWBC世界ミニマム級王座を獲得し、平成生まれで初の世界王者に。12年12月にWBA世界ライトフライ級王座、15年4月にはWBA世界フライ級王座を獲得し、当時世界最速となるプロ18戦目での3階級制覇を達成。身長1メートル65、リーチ1メートル58の右ボクサーファイター。