【WBO世界スーパーフライ級王座決定戦12回戦 ●同級3位・井岡一翔 判定 同級1位ドニー・ニエテス○ ( 2018年12月31日 マカオ・ウィンパレス )】
井岡がポイントで勝ったと思った。前半はニエテスの振り回すフック、アッパーに当たるシーンが目立った。大きなパンチの被弾は印象も悪い。ニエテスは回転力もあるから1、2発目は対応できても、その後のパンチを食ってしまう。だが、7回くらいから距離を保って制御した。ニエテスの動きも落ちた。
私の引退まで、井岡とはスパーリングで手合わせした。突出した身体能力はないけれど、うまくてコンパクト、モーションの小ささが印象的だった。モーションを小さくすることで相手に反応をさせにくくし、自らも相手の動きに反応しないことで体力を浪費しない。
マカオでもそのスタイルを徹底していた。改善点として挙げられるのは、3分間ごとに1回、連打を集めてヤマ場をつくれていたら、ということ。ジャブを突いて相手の空振りを誘い、ポイントを稼ぐ井岡のスタイルではないかもしれないが、ニエテスに流れたポイントを奪えただろう。再起してスーパーフライ級の体に仕上げてほしい。まだ成長の余地はあると思う。(元WBA世界スーパーフライ級王者、近大体育会ボクシング部ヘッドコーチ)