“モンスター”尚弥に全米震撼!ベガス初陣7回KO、日本人歴代1位の世界戦15連勝
2020年11月02日 05:30
格闘技
「フィニッシュのパンチは納得いく形で終われました。日本で凄く練習してきたパンチなので試合で出せてホッとしています」
1年ぶりの試合は初めてのラスベガス、そして無観客…どんな状況でも実力を発揮できるのがモンスターたるゆえんだ。立ち上がりから鋭いジャブを上下に打ち分け主導権を握ると、父の真吾トレーナーの指示で、2回以降はさらにプレッシャーを強めた。6回に左フックで最初のダウンを奪い、7回の一発で試合を終わらせた。
期待した通りの結果でさらに評価は高まった。かつてアリやメイウェザー、デラホーヤ、パッキャオとボクシング史に刻まれた王者をプロモートしたトップランク社のボブ・アラムCEOは「想像よりさらに上だった。あれだけのフットワークとパンチ力を兼ね備えた選手は見たことがない」と衝撃の大きさを明かした。
昨年11月のWBSS(ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ)決勝。年間最高試合にも選ばれたドネア(フィリピン)との死闘は今も「脳裏に残っている」という。2万2000人の観衆を集め、満足感も得たが、眼窩底骨折のケガとともに井上には「ファンの期待を裏切ってしまった」という思いが残った。だからこそ高いモチベーションを保ち練習を続けた。コロナ禍で海外からパートナーを呼べないなどの制約もあったが、同門の若手選手とスパーリングを消化。「ケンカになるから」と禁止された弟・拓真とのスパーも解禁した。大橋会長が「もう一つのモンスター」と表現する強い精神力で対戦相手の変更にも動じず、困難を乗り越えた。
コロナという“見えない敵”の前でも4団体制覇という目標は変わらない。「次はドネアとウバーリの勝者、カシメロ…WBC、WBO王者がターゲットになる。タイミングが合う方とやりたい」と井上。さらなる高みを目指す戦いは続く。
《隔離&無観客で実施》コロナ禍の興行は外部との接触が遮断される隔離エリア「バブル」で、無観客で実施された。ラスベガスのビッグマッチには付きもののリングサイドのセレブたちの姿はもちろんなし。リングアナウンサーはリングに上がらず、やや離れた舞台上で選手紹介を行った。3人のジャッジもリングの真下ではなく約1メートル離れた位置から採点。リング周囲の椅子も間隔を置いて配置され、選手の息遣いやパンチのヒット音、セコンドの指示が場内に響いた。