【猪木さんインタビュー(1)】アリと異種格闘技戦「世紀の凡戦と言われたが、なぜ今頃、評価されるのか」
2022年10月02日 04:20
格闘技
「難しい判断でした。周りでオレを守ってくれている人たちからすれば番組をやめてほしかったみたいですけどね。でも、オレはあるがままでいいじゃんという考え。格好悪い猪木もさらけ出すんです」
――猪木さんの闘う姿を見て勇気づけられた視聴者からのメッセージは?
「世間の受け止めが批判的ではなく、好意的なのでうれしいです。元気があれば何でもできるんです」
――リングでも規格外の相手との戦いの歴史だった。その全てにロマンがあった。1976年6月にボクシング世界ヘビー級王者であるムハマド・アリを異種格闘技戦のリングに上げた。そのことは現在に連なる日本の格闘技の源流になったと思います。猪木さんのアリキックでアリは左足にダメージを負い、その血栓症が元で引退が早まったとされている。
「あの時はファイトマネーも全てが破格でした。円が1ドル300円くらいかな。ファイトマネーも入れて全部で30億円くらいかかった。世紀の凡戦とも言われた戦いが、なぜ今頃、評価されるのか。ファンがたった一つの試合を朝までじっくり語り合ったりしていると聞くと、うれしくなる。つまりそういうことなんですよ」
――ボクシングの現役王者を引きずり出す荒唐無稽な発想は、世間にプロレスを認めさせる闘いでもあった。その中で日本プロレス時代の兄弟子だったジャイアント馬場さんの存在はどういうものだったのか。そこには対立概念の意識はあったのか。
「馬場さんという比較対象があって本当によかった。彼の存在があって、オレは鏡を見るようにして、その存在を糧に日々闘い続けてきた。鏡と言っても馬場さんの欠点を見るのではなく、自分自身がこうありたいということです。今でこそ言えるのは“全てに感謝”。時間が過ぎると全部変わります」
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