浜田剛史氏展望 拳四朗は試合組み立て有利に 京口は自信の打ち合い貫け

2022年11月01日 04:45

格闘技

浜田剛史氏展望 拳四朗は試合組み立て有利に 京口は自信の打ち合い貫け
計量をパスした寺地(左)と京口(撮影・島崎忠彦) Photo By スポニチ
 【ダブル世界戦 WBC&WBA世界ライトフライ級王座統一戦   寺地拳四朗―京口紘人 ( 2022年11月1日    さいたまスーパーアリーナ )】 ライトフライ級ダブル世界戦の前日計量が10月31日、都内のホテルで行われ、4選手とも一発でパスした。10年ぶり2度目となる日本人同士の2団体王座統一戦に臨むWBC王者・寺地拳四朗、WBAスーパー王者・京口紘人はともにベストの仕上がりをアピール。階級最強の称号を懸けた一戦を本紙評論家の浜田剛史氏(元WBC世界スーパーライト級王者、帝拳ジム代表)が展望した。
 両王者にとって一番いいタイミングでの統一戦になった。拳四朗は一度失ったベルトを取り返し、京口は2試合続けて海外防衛に成功して自信をつけた。ともに自分の方が強いと思っているはずだ。

 打っては離れるアウトボクサーだった拳四朗は矢吹正道との第1戦(注1)で途中から慌てて打ち合った。正面衝突のような打ち合いからボディーを効かされて敗れたが、パワーでは矢吹よりも上と感じられた。実際に、矢吹との再戦(注2)ではこれまでの方向性とは180度とまではいかないが、90度以上異なる、最初から打ち合うスタイルに変えて完全にパンチ力で勝った。

 京口は前回、敵地メキシコで不利な目に遭いながらもボクシングを崩さずに自分のスタイルで打ち勝った(注3)。日本で防衛していた頃は拳四朗に比べてパンチが切れていない印象を受けたが、良い意味で開き直り、自信というプラスアルファの力も出ていた。

 展開はボクシングの幅が広く戦い方を選べる拳四朗次第。試合を組み立てられるという意味では拳四朗が有利かもしれない。拳四朗が一番やってはいけないのは、どっちつかずの戦い方で臨むこと。うまくいかなければ途中での切り替えも必要になるが、矢吹戦のように体が浮いた状態で中途半端に打ち合う展開は避けたい。鍵となるパンチは左ジャブと右のカウンターだ。

 京口は打ち合いなら真っ向勝負できるが、拳四朗にアウトボクシングをされた場合はスピードを意識して追わないといけない。そこで焦って突っ込み過ぎてカウンターをもらうのが悪いパターンだ。ただ、自信のある戦い方は貫くべきと思う。鍵は左ボディー。右ストレートをカウンターでもらうリスクを承知で、拳四朗が矢吹戦で見せた弱点を徹底的に突くことも大事だ。自信をつけた今の京口なら可能だろう。(元WBC世界スーパーライト級王者)

 (注1)21年9月22日、9度目の防衛戦で矢吹正道(緑)に10回TKO負け。4回終了後の公開採点で想定外のリードを許し、打ち合いに移行。9回にヒッティングで出血し、勝負を懸けた10回にダウン寸前まで追い詰めながら逆襲されて試合をストップされた。

 (注2)WBCの指令を受け、22年3月19日にダイレクトリマッチ。立ち上がりから距離を詰めて打ち込む攻撃的な戦い方を見せ、3回KO勝ちで世界王者に返り咲いた。

 (注3)22年6月10日、敵地グアダラハラで正規王者エステバン・ベルムデス(メキシコ)に8回TKO勝ちして4度目の防衛に成功。6回にバッティングで、7回には後頭部へのパンチで2度減点され、7回までの採点も2―1と見た目以上に競っていた。

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