毎日放送・馬野雅行アナ 14日阪神戦のラジオで自身ラスト実況

2024年09月14日 05:00

芸能

毎日放送・馬野雅行アナ 14日阪神戦のラジオで自身ラスト実況
馬野雅行アナウンサー
 毎日放送の馬野雅行アナウンサー(59)がきょう14日の阪神対広島戦(甲子園)のラジオ放送で、自身最後の実況中継を担当する。36年間の野球実況を振り返って「最後も基本に忠実にお伝えしたい」と普段通りにマイクを握る。
 阪神を中心にプロ野球実況を600試合以上、選抜高校野球を400試合以上。「テレビとラジオを合わせたら1000試合は実況してると思います」と馬野アナは胸を張る。

 ラジオ初実況は90年選抜の高松商対鳥取西戦(甲子園)。その年の10月に近鉄対ダイエー戦(藤井寺)で初めてプロ野球のラジオ実況を担当した。テレビの実況デビューは91年の第63回選抜大会1回戦・大阪桐蔭対仙台育英戦だった。その試合で和田友貴彦投手がノーヒットノーランを達成。初実況で大記録を目の当たりにする強運の持ち主は「初戦で運を使い果たしたかな」と笑った。

 入社以来ずっと順風満帆だったわけではない。スポーツを担当していた当初は「いつも異動の時期になるとドキドキしていて。自信がなかった」と現在の堂々とした実況ぶりからは想像できないほど。転機は94年。夕方のニュース番組「MBSナウ」のMCに抜擢された。その翌95年1月17日、阪神淡路大震災に遭遇。震災当日の昼頃から12時間ぶっ通しで報道特番のMCを担当。「発災から1週間、毎日12時間、情報を伝え続けました」。未曾有の大災害の報道は「誰も経験したことがない放送だった」。被害状況を伝え、余震のたびに注意喚起。ライフラインを伝え、不足物資を訴えた。「どんな不測のできごとにも対応できるように。その後に大きな影響のある経験でした」。大きな自信となった。

 プロ野球実況での一番の思い出は05年9月7日の中日対阪神戦(名古屋ドーム)。本塁ベース上での微妙な判定が続き、平田勝男ヘッドコーチが退場となった。岡田彰布監督がマウンド上で久保田智之投手に「めちゃくちゃやったれ。負けてもオレが責任取ったる」とゲキを飛ばしたあの“伝説”の試合だ。「あの後、延長で中村豊選手が決勝本塁打。優勝への意味ある試合でした」と振り返った。

 実況アナとして「いつ聞いても得点とイニングが分かるように。聞いている人が球場の状況を頭に浮かべられるように」と平静を心がけてきた。ただ、何度も泣きそうになったことも。震災の95年夏、グリーンスタジアム神戸(現ほっともっとフィールド神戸)での5回終了時点での花火を見て、震災のことを思い出した。

 「(震災から)半年間のことを思い出して、涙がこぼれそうになって…。我慢しましたね」と馬野アナ。入社3年目、大先輩で現在はフリーアナの角淳一さん(79)から「実況で泣くな。泣きたい気持ちを言葉で表現するのがプロのアナウンサー」と教えられた。その言葉が頭に浮かんだ。「ちょうど花火の音で、泣きそうな声がかき消されました」と回顧した。

 野球実況以外にもゴルフの「ダンロップフェニックストーナメント」を01年から23年連続で実況担当してきた。来年7月末に定年を迎えるが、「シーズン途中では中途半端になるので、今シーズンで最後にしようと決めました」。解説は亀山努氏(55=本紙評論家)。「甲子園の雰囲気、色やにおいまで皆さんの頭に浮かぶように」とラスト実況を楽しみにしている。

 ◇馬野 雅行(うまの・まさゆき)1965年7月12日、東京都品川区出身の59歳。日大芸術学部から89年に毎日放送へ入社。スポーツを担当。夕方の報道番組のMCも務めた。趣味は鉄道。

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