川崎で“ひな祭り”デビュー 菜七子惜しい2着「勝てると思った」
2016年03月04日 05:30
競馬
前走2着のミスターナインワン。好スタートを決めると、中団へ誘導、前に馬を置きジッと我慢させた。4角すぎに外へ持ち出すと、直線は壮絶な叩き合い。「これは勝てると思った」と菜七子。懸命に右ムチを連打。その激励に応えるように、残り100メートルから大外をグイグイと脚を伸ばした。勝ち馬には頭差だけ届かなかったが、地方競馬のレジェンド、59歳の的場文が騎乗する1番人気フクノサンデーを鼻差かわした。「ゴールの瞬間まで(勝敗は)分からなかった。勝ってくれればいいな、と思った」と菜七子。写真判定の末の2着。初めて馬券圏内を確保した。
初騎乗となった1Rからパドックには人だかり。「整列した時が一番緊張した。でも、馬に乗ると緊張が解けた」。午前11時20分、熱視線が注がれる中でのゲートイン。しかし、突然のアクシデント。場内の異様な空気を察知してか、キョウエイレベッカがゲート内で体勢を崩して馬体に故障を発生。いったんゲートから出されファンファーレからやり直し。約8分遅れの発走となった。それでも「緊張はなかった」と冷静にレースに挑んだ。ブービー8着とホロ苦い初騎乗となったが小回りでタイトなコーナリングも無難にこなした。
「女の子だから」と師匠の根本師の計らいで実現した“ひな祭りデビュー”。最初こそ、硬い表情が目立った菜七子だったが、騎乗を重ねるにつれて笑顔が増えていった。この日勝利は挙げられなかったが、レース後は「小学6年生の頃から夢見た騎手の世界。ずっとこの日が待ち遠しかった。きょうは少しずつ慣れていって、自信をつけられた」と菜七子スマイルがはじけた。
JRAの初陣は、5日の中山。土曜1鞍、日曜2鞍の計3鞍が予定されている。「積極的な競馬をして、1つでも上の着順に持っていける乗り方をしたい」と意気込む。この日身に付けた自信を胸に、菜七子は中央の舞台へ挑む。
◆藤田 菜七子(ふじた・ななこ)1997年(平9)8月9日、茨城県生まれの18歳。根本康広厩舎所属。目標の騎手はリサ・オールプレス。1メートル57、46キロ。血液型A。