タブーを乗り越え女性花火師に

2008年01月09日 06:00

五輪

タブーを乗り越え女性花火師に
宗家花火鍵屋の15代目で、日ごろは花火職人として仕事をこなす天野安喜子さん。国際柔道連盟審判員として北京五輪に派遣されインタビューを受ける。
 だが、天野さんには実家を継ぎ花火師になるというもっと大きな夢があった。父の背中にあこがれ、小学2年で早くも「私も花火師になる」と決意を固めていた。数十年前まで女性は現場に立ち入ることすら禁止されていた。祖母からは「女性は不浄の者だから火の神の宿る場所には入ってはいけない」と諭されたこともあるという。そんな男ばかりの世界にも、おくせずに飛び込んだ。
 修業先は自ら志願して実家と取引関係の無い工場を選択。当初は女性ということで職人たちにも遠慮があり、思うように修業が進まなかった。だが「ここに何をしに来たんだろうと落ち込むだけ落ち込んだ後に“仕事を盗むために来たんだ”と吹っ切れました」と奮起。ベテラン職人が席を外すとこっそり火薬玉の配置をのぞき見し、いつも空いていた利き腕と反対の左手用の窯を利用するなどがむしゃらに努力を重ねた。職人たちにも徐々に存在を認められていき、最後は工場長に「普通は5、6年がかりで覚える仕事を1年で覚えたな」と驚かれるほどの成長を遂げた。その後は鍵屋に戻り、00年に女性としては初の15代目当主を襲名。ついに「私は15代目当主になるために生まれた」と言い切る天職にたどり着いた。

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