――井上 最後までご声援、本当にありがとうございました。今は寂しさもありますが、ホッとした気持ちもあります。5歳から柔道を始めて25年、すべてが柔道だった、という感じですね。柔道にすべてを注いだし、また、柔道があったからこそ、井上康生という人間がつくられたのだと思っています。
4月29日、北京五輪の男子100キロ超級最終選考会を兼ねた全日本選手権。井上は4回戦で高井に敗れ、北京五輪代表の座を逃した。その日、関係者に引退を報告。05年1月の嘉納杯で右大胸筋腱断裂の大ケガを負いながら、北京へ向け再起したのは06年6月。挑戦は2年足らずで終わったが、引退会見はさわやかな笑顔だった。