不器用な生き方が柔道にも

2008年06月10日 06:00

五輪

不器用な生き方が柔道にも
引退試合となた全日本実業柔道団体対抗大会で優勝を飾った井上康生
 ――井上 アテネ五輪直前、強化合宿で顔を合わせたパラリンピック代表選手の柔道着が古いことに気づき、山下泰裕東海大柔道部部長に「柔道着を贈りたい」と相談。山下氏はすぐに賛同した。05年1月には嘉納杯優勝で手にした賞品の車を現金化し、新潟県中越地震の被災者に送った。すべて人知れずに行い、今も公表はしていない。「今しかできない柔道に集中しろとも話したし、不義理をしてもあとで返せばいい、とも言った。でも、それができなかった。厳しい戦いの最中でも気配りを忘れない男なんです」と山下氏。生き方を変えられない不器用さが、そのまま井上の柔道に表れていた。
 ケガをした時には、親しい人からも“もう引退してもいいじゃないか”と言われました。だから、北京を目指して復帰を決めたときに「お父さんのために戦うのか」とも言われました。父や妻(亜希夫人)のため、応援してくれる人のため、というのは確かにあった。でも、最後は自分が勝ちたいから続けたんです。それは僕が5歳で柔道を初めて、8カ月目に宮崎県チャンピオンになった日から、最後まで変わらなかった。それだけ、柔道が好きだったんです。

おすすめテーマ

2008年06月10日のニュース

特集

【楽天】オススメアイテム