柳沢敦氏 “判決”受け、あえて言いたい 代表FWへ「W杯でゴールは大事」
2018年04月10日 11:30
サッカー
「W杯で、ゴールは大事」
センターサークル付近から見上げた16年前の夕刻の空の色は、今も覚えている。最高潮に達した緊張は少し収まり「今ここに立てていることが幸せ」という感情がこみ上げた。気合がみなぎった瞬間に初戦のキックオフを迎えた02年日韓大会。初戦ベルギー戦と続くロシア戦で、稲本への2本のアシストを記録した。「(点を)決めたイナを褒めるべき」と言う2つのパスは紛れもなく日本を史上初の決勝トーナメントに導くプレーだった。
「FWの仕事は、点を取ることだけじゃない」。ずっとそう思い続けていた。4年後のドイツ大会は、本番の3カ月前に第5中足骨を骨折しながら、24時間態勢のケアで乗り越えて再びピッチに立った。ところが勝利が義務づけられた2戦目のクロアチア戦で、絶好の決定機を外すミスを犯してしまう。
動きだしのセンスは誰にもまねできない。味方のチャンスを献身的に生み出すプレーは同僚をも虜(とりこ)にするほど。ただ、W杯での一つのプレーだけが象徴的に切り取られ、世間から批判を浴びた。
「ある意味“判決”が下ったような感覚になった」
もちろん「自分は信じるFW像を貫き通して現役を終えた」と言い切るサッカー人生には誇りがある。それでも、逡巡(しゅんじゅん)を経て、思い至った。やはり「W杯で、ゴールは大事」と。
日韓大会で16強入りした日本は、ドイツ大会では1次リーグ敗退。「(突破への)半分以上を占めていると言ってもいいくらい」左右したのは初戦の結果だった。「(日韓は)初戦の引き分けが勢いをもたらしてくれた。自分たちは歴史を変えるんだという強い団結力があった」。個人の準備では緊張感をほぐす精神コントロールも大切な要素だったという。
「大きな舞台だけに、いい意味でも悪い意味でも与える影響は大きい。結果いかんによっては評価も大きく変わる」。それが柳沢氏の経験したW杯。今大会のFW陣にはあえてこんなエールを送る。「逆に、その舞台を思う存分楽しんでほしい。プレッシャーもあるでしょうけど、最高の舞台だということは間違いないので」
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