【データスタジアム】なでしこ驚異の決定力 手数かけずに前線のスピード生かす

2023年08月02日 05:30

サッカー

【データスタジアム】なでしこ驚異の決定力 手数かけずに前線のスピード生かす
今大会、チーム最多4得点の宮沢(AP) Photo By AP
 【1次リーグ分析】11年大会以来、2度目の優勝を目指す女子日本代表「なでしこジャパン」は7月31日までに行われた1次リーグC組でザンビア、コスタリカ、スペインに3戦全勝。1位で決勝トーナメント進出を決めた。同大会で日本最多の1次リーグ11得点、初の3試合連続完封と攻守ともに光った戦いぶりを、「データスタジアム」のスタッツで振り返った。次戦は5日に決勝トーナメント1回戦でA組2位のノルウェーと対戦する。
 池田監督自身も「スコアは想定以上」と驚く結果だった。1次リーグ3試合での11得点は、03年大会の7得点を上回る最多得点。1日、ニュージーランドのクライストチャーチで全勝した3試合を振り返った指揮官は「選手たちが迷いなく、自信を持ってプレーできている」と評価した。初戦でザンビアに5―0と大勝し「いい流れがつくれた」。コスタリカにも2―0で勝って勢いを増し、格上とみられたスペインには4―0で完勝した。

 特筆すべきは決定率だ。日本が優勝した11年大会以降の1次リーグ3試合を比較すると、19・0%は最高。11年大会の11・8%、前回19年大会の4・9%を大きく上回っている。またシュート58本、枠内シュート25本とともに最多で、枠内率43・1%も最高となっている。

 好調な攻撃陣をけん引しているのが、2シャドーで出場している選手だ。MF宮沢は今大会チーム最多の4得点、藤野と猶本が1ゴールと日本の11得点の半数以上をこの3人が決めている。チームが共通理解を持った崩しから決定機を創出。中でも2列目からのスピードを生かした飛び出しが得点に結びついている。

 相手DFの最終ラインを狙うスルーパスは55本。特にスペイン戦では強固な守備からシンプルに裏を狙い、宮沢の2ゴールなど4得点中3得点がスルーパスからだった。過去3大会の1次リーグでスルーパスによるアシストはゼロだったが、今大会は既に4本がゴールに直結している。一方でパス数は過去3大会に比べて大幅に減少。過去のなでしこと比べて手数をかけずに前線のスピードを生かす戦術が奏功している。

 《空中戦の強さは世界屈指》
 日本としてW杯初の1次リーグ3試合連続完封は、空中戦の強さが要因の一つだ。今大会の空中戦の勝率48・4%(31回中15回)は、優勝した11年大会以降で最も高い。次点となった11年大会の38・7%(31回中12回)を大きく上回っている。

 初戦ザンビア戦では主将のDF熊谷と海外で経験を積むDF南の鉄壁コンビに、池田監督が「スピードやフィジカル的な強さに期待した」という20歳のDF石川を組み合わせて3バックを構成。速さに加えて全員が1メートル70超えという高さで、身体能力にたけるアフリカ勢を封じた。

 決勝T1回戦で激突するノルウェーのW杯登録メンバーの平均身長は1メートル70・3で、日本は1メートル64・7。「高さのある相手が苦手」というのが通説だったが、3バックの空中戦の強さは“世界基準”に達しており、4試合連続完封も期待できる。

 《池田監督、選手の状態面に自信》
 池田監督は1次リーグ3試合でGK2人と故障明けのFW浜野を除く20人を起用。「一回ピッチに立ったことで、次に出た時に試合に入っていける」と選手の状態にも自信を深めた。2大会ぶりの8強進出が懸かる決勝T1回戦はノルウェーと当たる。負ければ終わりの一発勝負へ「自分たちがやってきたことを出す。ノルウェーの強みを分析して、どう対策していくか(が大事)」と次戦を見据えた。

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