【川崎F・DF大南拓磨 天皇杯優勝手記】古巣の柏破り念願の初タイトル「成長した姿を見せたかった」

2023年12月10日 12:00

サッカー

【川崎F・DF大南拓磨 天皇杯優勝手記】古巣の柏破り念願の初タイトル「成長した姿を見せたかった」
<川崎F・柏>後半、柏・細谷(右)からボールを奪う川崎F・大南(撮影・白鳥 佳樹) Photo By スポニチ
 サッカー天皇杯決勝が9日に国立競技場で行われ、川崎フロンターレが0―0のままもつれた柏レイソルとのPK戦を8―7で制し、3大会ぶり2度目の優勝を飾った。3シーズン所属した柏から昨オフに川崎Fに移籍し、古巣との大一番に先発して自身初のタイトルを手にしたDF大南拓磨(25)が、新天地での1年目を手記で振り返った。
 タイトルを獲るために来たチームなので、1年目で達成できたのはうれしい。今シーズンは苦しいことの方が多かったけど、最後にこうした形で国内の試合を終われて良かったと思う。個人的には足をつって後半終了前に交代してしまい、満足いくものではなかったけど、チーム一丸となって勝てたことが大きい。PK戦はベンチの僕まで緊張し、ドキドキして見ていた。

 フロンターレへの移籍は、難しい決断だった。成長したい、タイトルを獲りたいという思いが大きく、自分自身に足りないものを探す中で決めた。レイソルで前に一緒だった瀬川選手も湘南から移籍を決めていて、一緒にやろうと言ってくれた。移籍はストレスがあるものなので、一緒にいるだけで安心感のある先輩の存在も大きかった。

 うまい人が多いチームという印象は、実際に入っても変わらなかった。主将だった谷口選手が移籍したばかりの状況。自分としては後釜とは考えていなくて、自分にフォーカスしようと思っていた。でもファン、サポーターや周囲からは、どうしてもそのレベルを求められる。シーズンを通して、力不足だなとはずっと感じていた。

 リーグ2戦目からケガ人が出たこともあり先発出場が続いたけれど、前半戦はうまくいかないことばかり。ビルドアップの判断などで、考え込んでしまうことが多かった。後半戦はみんなと話し合い、自分たちのスタイルを守りつつ、相手の嫌がるところを突こうとクリアにできたのが大きかった。印象に残っているのは7月の横浜F・マリノス戦。先発落ちで悔しい思いをしていた中で、終盤に出場して車屋選手の決勝点をアシストできたのはうれしかった。

 レイソルとの決勝になったのは、運命かなと感じる。監督の井原さん、コーチの栗沢さんや去年まで現役だった大谷さんをはじめ、お世話になった方全員に成長した姿を見せたかった。当時のネルシーニョ監督は要求のレベルが高く、井原さんはコーチとしてセンターバック目線でフォローしてくれた。レイソルではサイドバックやウイングバックも経験し、状況を見て攻撃参加する判断を学べた。

 昨年7月のE―1選手権で、レイソルから細谷選手と一緒に日本代表に初招集された。でも今、残っているのは悔しさだけ。香港戦で途中出場して、こんなところで緊張してはいけないと思いながらも緊張したし、自分らしさも出せなかった。フロンターレの選手も多くてみんなレベルが高く、これを最低基準のラインにしないと、という気づきがあった。

 細谷選手は今年も代表入りしたけど、力のある選手なので、驚きも特に感じることもない。サッカーをしている以上は目指すところであり、その気持ちは今でも変わらない。これからも地に足をつけて、自分のレベルを上げていきたいと思っている。

 ◇大南 拓磨(おおみなみ・たくま)1997年12月13日生まれ、愛知県出身の25歳。鹿児島実からセンターバックとしてプレー。16年に磐田でプロ入りし20年に柏、23年に川崎Fに移籍した。J1通算134試合5得点。1メートル83、76キロ。利き足は右。

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