【蹴トピ】プレミアL冬季移籍金、前年比86%減 財務規定違反の厳罰化で高額移籍歯止め

2024年02月07日 06:00

サッカー

【蹴トピ】プレミアL冬季移籍金、前年比86%減 財務規定違反の厳罰化で高額移籍歯止め
クラブW杯を制したマンチェスター・シティーのイレブン(AP) Photo By AP
 欧州主要リーグの冬季移籍期間が異例の展開で1日に終了した。高額移籍金を伴う有力選手の取引が少なく、資金力で市場を引っ張ってきたイングランド・プレミアリーグ勢の投資額はなんと前年比86%減でリーグ別首位から転落。リーグの財務規定違反による厳罰が影響したとみられ、移籍金の高騰化に歯止めがかかった。
 強豪やスターの名前でにぎわうはずの移籍期限最終日。1年前にはチェルシーがベンフィカからアルゼンチン代表MFフェルナンデスを1億2100万ユーロ(約194億円)で引き抜いた。巨額放映権収入に支えられたプレミア勢が移籍期間全体でも冬季で史上最高となる8億4000万ユーロ(約1344億円)を費やした。しかし、今年は駆け込み移籍も乏しく、一転して1億2000万ユーロ(約192億円)と86%の大幅減。元々シーズン中の冬季は開幕期の夏季より投資が少ないが、コロナ禍に影響された20~21年シーズンを除けば05~06年以来の低水準となった。

 チェルシー、リバプール、アーセナルとともに今冬の補強を見送ったマンチェスターUのテンハグ監督は「ストライカーが欲しかったが、規則で余地がなかった」と明かす。買い控えや財政負担が少ない期限付き移籍など、消極姿勢の要因になったとみられるのが昨年11月にエバートンが受けた厳罰だ。21~22年にリーグの財務規定「収益性と持続可能性に関する規則(PSR)」で定められた基準を超えたとして、勝ち点10を減点された。

 経営の健全性を求める財務規定では欧州連盟(UEFA)のファイナンシャル・フェアプレー(FFP)で罰金などの例があるが、13年からプレミアリーグで採用されたPSRで減点処分が出たのは初。3勝1分け相当の勝ち点を失ったエバートンは異議を申し立てているが、4日現在で降格圏の18位に沈む。リーグは1月にも22~23年の違反でエバートンとノッティンガムFを処分する方針を新たに示し、各クラブが過敏になっている。

 「欲しい9番が何人かいたけれど(財政的に)余裕がなかった。それがクラブとしての我々の現在地。少なくとも勝ち点10は減点されなかった」と漏らしたのはウルバーハンプトンのオニール監督。21年にサウジアラビアの政府系投資ファンドに買収されて「世界一の金満クラブ」といわれるニューカッスルのハウ監督も「軍資金の時代は終わった。規則は破りたくない」と嘆く。

 来季の開幕に向けた今夏は再び高額移籍を含む市場活性化が予想されるが、プレミア勢が従来ほどの優位性を保てなくなる可能性もあり、目が離せない。


 ≪マンC 9年で100件以上の違反か 降格処分の可能性も≫ プレミアリーグの財務規定違反で注目を集めているのがマンチェスターCだ。UAEの投資グループによる08年の買収から大型補強を繰り返し、リーグ優勝7回。昨季は悲願の欧州チャンピオンズリーグ(CL)制覇など主要3冠を達成した。しかし、昨年2月の時点で09~18年に100件以上の規定違反の疑いが浮上したとしてリーグ側が第三者委員会に調査を委託したと発表。先月に入ってリーグ首脳が聴聞会の期日(非公表)が決まったことを明らかにした。

 昨秋の段階でグアルディオラ監督は「有罪が証明されるまで我々は無罪」と話したが、長期かつ多数にわたる疑惑が立証されることになれば、勝ち点減点はもちろん降格処分を受ける可能性さえ指摘されている。20年2月にはUEFAからFFP違反で欧州CLなど2季にわたる主催カップ戦出場禁止処分を受けたが、同7月にスポーツ仲裁裁判所(CAS)が処分取り消しの裁定。ピッチ内で見せつける強さとは裏腹に、ピッチ外では綱渡りの状況が続いている。

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