能登ペンギン、地元へ勇気 東京避難中も写真&動画で「のとじま水族館」再建へ“エール”

2024年05月05日 04:33

社会

能登ペンギン、地元へ勇気 東京避難中も写真&動画で「のとじま水族館」再建へ“エール”
開館前の館内を散歩するマゼランペンギン7羽 Photo By スポニチ
 元日の能登半島地震から4カ月が経過した。東京都墨田区の「すみだ水族館」には、被災した石川県七尾市の「のとじま水族館」からマゼランペンギン7羽が避難している。元気に暮らす姿は、のとじま水族館に動画などで共有され、復旧を目指す飼育員に活力を与えている。一般公開も検討されており、実現すれば多くの観客に元気を与えてくれそうだ。
 東京スカイツリーの商業施設にあるすみだ水族館。人けのない早朝の館内に、ペタペタと足音が聞こえてきた。正体は7羽のペンギンだ。最近は開館前に館内を散歩するのが日課。同水族館の飼育員、高嶋悠加里さん(36)は「ストレスなく生活するためには館内の構造を理解することが大事」。避難の長期化を見越して、今後はプールの周辺を歩かせるなど、より館内に慣らしていく方針だ。

 散歩の様子をはじめ、生活の中で撮影された写真や動画は、のとじま水族館に送られている。それを楽しみにしている一人が、同水族館の企画係長・高橋勲さん(50)だ。

 七尾市では元日の地震で震度6強を観測した。発生時、のとじま水族館は開館中で客が約200人いた。高橋さんは客を避難誘導しながら、配管が壊れて水浸しになった惨状を目の当たりにした。多くの水槽やポンプなどが壊れ、今も復旧の見通しは立っていない。それでも「写真や動画で元気に生活するペンギンを見られると安心するし、早く生き物をここに戻せるように頑張ろうという気持ちになる」と話しており、復旧作業のモチベーションになっている。

 のとじま水族館で飼育ができない動物は、全国の水族館などに避難中。すみだ水族館は2月1日にペンギン7羽を受け入れた。7羽は慣れない環境に戸惑い、普段と異なる作業服の飼育員に寄りつかなかったが、日を追うごとに順応。最近は同じスペースで生活する、すみだ水族館のペンギンと鳴き声を出し合う「鳴き交わし」をすることもあるという。

 高嶋さんは「今は7羽がストレスなく安全に生活することが第一ですが、いずれはこちらのペンギンと一緒にプールで泳いでほしいですね」と願う。現在は一般公開されていないが、公開が実現する日が待ち遠しい。

 ≪配管壊れ熱帯魚など40種ほぼ全滅≫被災したのとじま水族館では、多くの配管やポンプ設備が壊れた。水道が止まり温暖な地域に住む熱帯魚など約40種はほぼ全滅。日本海側で唯一飼育していた体長約4メートルのジンベエザメ2頭も水質悪化などの影響で1月9日と10日に死んだ。適切な飼育を受けられないイルカやアザラシなど計9種63匹は、2月上旬までに8都府県9施設に避難。首都圏では横浜・八景島シーパラダイスがマイルカ5頭を受け入れている。和歌山県に避難した雄のマイルカ(推定28歳)が移送後に死ぬなど動物たちへの負担もかかったが、富山市ファミリーパークに移されたフンボルトペンギンのペアは4月に繁殖し2羽がふ化。新たな命の誕生もあった。

 ≪2回目出張開催、輪島朝市が盛況≫能登半島地震による大規模火災で開けなくなっている輪島朝市(石川県輪島市)が4日、再建を目指し、金沢市金石地区で2回目の出張開催をした。県内外から約9500人が訪れ、会場は活気にあふれた。出張朝市は午前のみの開催で、輪島市朝市組合の組合員らを中心に約40店が参加。海産物や能登の工芸品などが販売された。今後、愛知や兵庫の商業施設など県外にも出張する予定。

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