安倍元首相殺害“真犯人”がいる 新著「暗殺」下山事件追う作家・柴田哲孝氏断言「壮大な陰謀潜んでいる」

2024年06月20日 04:45

社会

安倍元首相殺害“真犯人”がいる 新著「暗殺」下山事件追う作家・柴田哲孝氏断言「壮大な陰謀潜んでいる」
「真犯人はここから狙撃した」とその部屋から安倍元首相が演説した場所を撮影した写真を見せる柴田氏 Photo By スポニチ
 来月8日に安倍晋三元首相銃撃事件から2年を迎える中「真犯人は別にいる」という衝撃的内容の問題作が出版される。戦後最大のミステリー「下山事件」を追い続ける作家、柴田哲孝氏(66)の「暗殺」(20日発売、幻冬舎)で「この物語はフィクションである」との注釈から始まる。本紙のインタビューに、事件を引き起こした山上徹也被告(43)について「彼はケネディ暗殺事件におけるオズワルドだ。事件には壮大な陰謀が潜んでいる」と明かした。(佐藤 昂気)
 「偶然は1つなら偶然だが、2つ重なったら疑わなければいけない。3つ重なればそれは必然。安倍元首相の事件ではいくつも重なっている」。柴田氏はそう事件への疑念を口にした。

 安倍氏が凶弾に倒れたのは参院選期間中の2022年7月8日。奈良市の近鉄大和西大寺駅北口で応援演説中だった。当初から第三者の関与も指摘されたが、現行犯逮捕された山上徹也被告の単独犯行として23年3月に一連の捜査は終了した。ただ、安倍氏に当たった銃弾2発のうち致命傷を与えた1発が見つからなかったことなど、当初から謎も多い。安倍氏の奈良入りが前日に決まったことや、演説直前に警護態勢の変更が生じたことなどにも疑問が持たれたこともある。

 柴田氏が筆を執る端緒となったのは、事件翌日に届いたある右翼団体関係者からのメール。「山上は犯人じゃない。事件は以前から計画されていたものだ」。その後、警察庁OBからも「警察の反応がおかしい。絶対に何か隠している」との連絡を受け、下山事件と同様に背後の暗部を嗅ぎ取ったという。

 取材を重ねて“消えた致命弾”の謎を解き明かしていく中で、たどり着いたのが、事件から60年を経てもなお陰謀論が議論されるケネディ大統領暗殺事件。逮捕された銃撃犯の名前を挙げ「山上被告はオズワルドと同じだと確信している」と柴田氏は断言する。

 高さ数十センチの壇上の安倍氏が、それより低位置から銃撃されたにもかかわらず、治療にあたった担当医の説明では、弾丸の軌道が上から下に進んでいることも疑問視。「別の真犯人がいて、その人物がこの場所から狙撃した」と説明し、狙撃場所とみているビルの部屋から安倍氏が立っていた地点を撮影した写真を記者に見せた。

 さらに事件の背後では同じく未解決事件の「87年の赤報隊事件ともつながっている」ともみているが、全ての裏付けが取れていないこともあり「小説」として出版する。それはなぜか。「事件に一石を投じるためです。下山事件も松本清張さんが書いた小説があったからこそ、僕や多くのジャーナリストがいまだに真相を追っている。これをきっかけに事件を知る人たちが口を開くなど、再検証の動きが広がる第一歩となれば」と期待を込めた。

 ≪山上被告、精神鑑定で結果「責任能力あり」≫山上被告に関し、検察側が請求した精神鑑定で「完全責任能力」があるとする結果が出ていたことが19日、関係者への取材で分かった。弁護側が当時の精神状態を争わず、再鑑定の請求を事実上見送ったことも判明。公判開始のめどは立っていないが、被告の成育環境などの情状面や手製銃の殺傷能力の程度が中心的に審理される見通しとなった。裁判員裁判で審理される見通しで、証拠や争点を整理する公判前整理手続きは既に3回行われた。

 ▽下山事件 連合国軍占領下にあった1949年7月5日、国鉄初代総裁の下山定則が公用車での出勤途中に失踪。翌6日未明に東京都足立区綾瀬の常磐線北千住駅―綾瀬駅間、東武伊勢崎線との立体交差部ガード下付近で、れき死体で発見された=写真。下山が当時、連合国軍から10万人規模の人員整理を迫られていたことから自殺説と他殺説が入り乱れた。64年7月6日に殺人事件の場合の公訴時効が成立した。

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