検事総長に畝本直美氏起用 33代で初の女性 主要ポストを経ず就任の背景に「本命の失脚」

2024年06月29日 05:30

社会

検事総長に畝本直美氏起用 33代で初の女性 主要ポストを経ず就任の背景に「本命の失脚」
畝本直美氏 Photo By 共同
 政府は28日の閣議で、検察トップの検事総長に畝本直美東京高検検事長(61)を充てる人事を決めた。戦後33代目の総長で女性は初めて。発令は7月9日付。甲斐行夫検事総長(64)は退官する。法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)では、4月に日弁連として初の女性会長に渕上玲子氏(69)が就任しており、女性トップが出ていないのは最高裁だけになる。
 畝本氏は千葉市出身で、中央大卒業後の1988年に任官した。法務省勤務が比較的長く、法務省保護局長や最高検公判部長、広島高検検事長などを歴任。23年1月に、検察ナンバー2の東京高検検事長に就任した。

 東京高検検事長時代には、洋上風力発電事業を巡る汚職事件や自民党派閥の裏金事件などを指揮。1966年に静岡県の一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん(88)の第2次再審請求の差し戻し審では、再審開始を認めた東京高裁決定に対し、最高裁への特別抗告を断念した。

 歴代検事総長は法務省刑事局長や法務事務次官、東京地検検事正といったポストを経験するのが通例だ。畝本氏はいずれにも就いておらず、異色の経歴といえる。

 同年代の総長候補は辻裕教元仙台高検検事長(62)が本命視されていたが、辻氏は事務次官時代に黒川弘務元東京高検検事長の「定年延長」を巡る対応で事実上失脚したとされ、定年まで1年超残して仙台高検検事長を辞職した。こうした経緯などから、安定感に定評のあった畝本氏が抜てきされたもようだ。女性登用への期待の高まりも後押しした。

 小泉龍司法相は28日の閣議後記者会見で「男性だから、女性だからといったものを超越した、より高次元の使命にまい進されることを期待する」と述べた。

おすすめテーマ

2024年06月29日のニュース

特集

【楽天】オススメアイテム