紅こうじ死亡の疑い76人判明 小林製薬の報告遅れに怒り 武見厚労相「調査は厚労省が直接管理」

2024年06月29日 05:30

社会

紅こうじ死亡の疑い76人判明 小林製薬の報告遅れに怒り 武見厚労相「調査は厚労省が直接管理」
小林製薬のサプリメント「紅麹コレステヘルプ」 Photo By 共同
 厚生労働省は28日、小林製薬(大阪市)の紅こうじサプリメントを摂取後に死亡した疑いで調査している事例が新たに76人に上ったと発表した。武見敬三厚労相は報告がなく公表が遅れたことに「極めて遺憾だ。今後の死亡事例の調査は小林製薬だけに任せておけず、厚労省が直接、進捗を管理する」と述べた。健康被害の発生公表から3カ月が経過して死亡疑いが大幅に増加、食品による被害として異例の規模となった。厚労省と小林製薬は因果関係を調査する。
 小林製薬は「被害発生の可能性が否定できないものは広範に報告・公表すべきだと判断した」と理由を説明したが、記者会見は開かなかった。情報発信やガバナンス(企業統治)体制が厳しく問われそうだ。

 小林製薬には死亡を疑う相談が170人分、寄せられていた。うち94人は摂取していないことなどが確認され、無関係だった。76人の死亡原因に関しては、腎関連疾患だけではなく、がんや脳梗塞、肺炎、大動脈解離なども含まれる。当初は腎疾患に絞って死亡疑いを公表していたが、幅広い疾患に拡大したとしている。

 厚労省は今月13日、追加の死亡事例があるかどうかを問い合わせ、翌14日に「事例がある」と小林製薬から回答があった。詳細な報告を求めたところ、27日になってから「遺族からの相談が170人分あった」と説明を受けたという。

 厚労省は、76人に関する調査の計画を29日までに報告するよう求めた。小林製薬は「国民の皆さまに多大な心配をかけてしまった」と謝罪。武見厚労相の指摘には「大変重く受け止める」とコメントした。3月に発表していた死亡疑い事例5人のうち、1人はサプリを摂取しておらず関連がないことも公表した。

 小林製薬は、被害が疑われる人へ通院費用の補償を専属で担当する「補償対応本部」を新設することも発表した。

 小林製薬が昨年製造した紅こうじ原料からは想定していない青カビ由来の物質プベルル酸が検出された。国立医薬品食品衛生研究所での分析で、腎臓に毒性があることを確認した。未想定の2物質も検出し、毒性の有無の調査が進んでいる。

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