クマ銃猟 条件付きで市街地も可能に 環境省 鳥獣保護管理法改正へ

2024年07月09日 05:30

社会

クマ銃猟 条件付きで市街地も可能に 環境省 鳥獣保護管理法改正へ
ツキノワグマ(環境省提供) Photo By 提供写真
 昨年度、219人と過去最多の人身被害を出したクマの市街地出没対策に関し、環境省の専門家検討会は8日、鳥獣保護管理法を改正し、市街地での銃猟が可能となる要件を条件付きで緩和する対応方針をまとめた。同省は次期国会で改正を目指す。現在は住宅密集地などでの銃猟は原則禁止で、警察官職務執行法に基づき警察官が命じた場合などに限られていた。
 検討会は、現状では警察官が現場にいない場合などには警職法で対応できないことが懸念されると指摘し「法改正が望ましい」と結論づけた。ただ現場で対応する自治体職員や捕獲者の負担が増すことを懸念する声も上がり、委員で兵庫県立大教授の横山真弓氏は「現場への影響は大きい。法律が絵に描いた餅にならないよう指揮命令系統の整備や人材育成を進めてほしい」と力を込めた。

 法改正により、(1)住宅街で大型獣による人身被害の恐れが生じている場合(2)建物内にクマが入り込んだ場合(3)住宅街で箱わなを使ってクマを捕獲した場合―に銃による殺処分を可能にする。

 改正案を作る際の留意点としては、発砲可能な条件を整理し、自治体や警察が対応マニュアルを作成した上で訓練を行う体制づくりの必要性を確認。自治体などの要請で銃猟を行ったにもかかわらず事故が起きた際は、捕獲者に不利益が生じないよう責任の所在を明確にするとした。禁止されていた市街地での夜間の銃猟も、一定の技能があれば可能とする方向で検討を続けるよう求めた。

 検討会は5月23日の会合で対応方針案を示していた。環境省は5~6月にパブリックコメント(意見公募)を実施。389件の意見が寄せられ、賛同の声の他、「可能な限り山に返すべきだ」などの反対意見もあった。

 環境省によると、昨年度のクマの人身被害は把握できる2006年度以降で最多の198件、219人。住宅街などで餌を探す「アーバンベア」も多数出現し、昨年は流行語にもなった。被害が深刻だった岩手県の達増拓也知事らから規制緩和を求める声が出ていた。

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