山上被告との8つの共通点 トランプ氏銃撃犯、トーマス・クルックス容疑者 自宅に爆発物材料

2024年07月16日 04:40

社会

山上被告との8つの共通点 トランプ氏銃撃犯、トーマス・クルックス容疑者 自宅に爆発物材料
21年のトーマス・クルックス容疑者(ベセルパーク学区提供・AP) Photo By AP
 米ペンシルベニア州でトランプ前大統領が選挙集会中に銃撃された暗殺未遂事件から一夜明けた14日(日本時間15日)、現場で射殺されたトーマス・クルックス容疑者(20)の自宅から爆発物の材料が発見された。連邦捜査局は単独犯とみて捜査を進めているが、依然動機は不明。一方、容疑者が高校時代にいじめを受けていたことが判明。孤立を深めていたなどの人物像が分かってきた。浮かび上がるのは、2022年7月の安倍晋三元首相銃撃事件で殺人罪などで起訴された山上徹也被告(43)との共通点だ。
 世界を震撼(しんかん)させた事件から一夜。クルックス容疑者の自宅や車から爆発物の材料が発見された。また、事件で使用された銃は父親が購入したものだった。

 容疑者は高校卒業後は介護施設の厨房(ちゅうぼう)に勤務。犯罪歴は確認されておらず、介護施設の幹部も採用時の身元調査で問題はなかったと声明を出した。何らかの思想を抱いていたか、精神衛生上の問題があったかは不明だ。

 高校時代は射撃チームに志願したが、実力不足で落ちたという。地域の射撃クラブに所属していたとの情報もある。一方、高校の同級生は米メディアに「軍服や狩猟服を着てばかにされていた。昼食時はいつも1人だった」と証言。毎日のようにいじめられていたと振り返った。

 こうして浮かび上がった容疑者の人物像は、山上被告との共通点がいくつもある。

 (1)頭脳明晰(めいせき) 容疑者は高校時代に理数系科目の成績優秀者として表彰される優等生。山上被告も奈良県で有数の進学校を卒業。海上自衛隊に所属した後、職を転々とし事件前まで工場で働いていた。学力を生かせる仕事ではなかった点で共通している。

 (2)孤立 容疑者は高校時代友人が少なく、いじめを受けていた。山上被告は幼い頃に父親が急死。小学生の頃に母親が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に入信した。食べるものに困るほど困窮し、頼れる存在はほとんどいなかった。

 (3)銃器への知識 容疑者は銃に関心があった。山上被告は動画やネットの情報を基に作った手製銃を犯行に使用。自宅で少なくとも6丁を製造していた。

 (4)爆発物の準備 容疑者の自宅から爆発物の材料を発見。山上被告の自宅では爆薬が見つかり、爆弾の製造も考えていたことを供述。

 (5)故郷で凶行 容疑者はペンシルベニア州ベセルパーク育ち。事件現場の同州バトラーからは車で約1時間の場所だった。山上被告は4歳から暮らしていた奈良市内で犯行。

 (6)犯行場所 2人とも野外の演説会場を犯行場所として選択。容疑者は会場外から狙撃。山上被告は背後から接近するなど警備態勢の穴を突いた。

 (7)標的 トランプ氏は前大統領で、安倍氏は元首相

 (8)服装 犯行時の服の色合いも偶然なのか一致。いずれも上はグレーのシャツ、下はカーキのズボンだった。

 ≪Tシャツに大統領と星条旗≫2021年に撮影された写真で、クルックス容疑者は星条旗を背景にラシュモア山がプリントされたTシャツを着ている。米中西部サウスダコタ州にある観光地で、初代ワシントン、16代リンカーンら歴代4人の大統領の顔が彫られている。

 ≪家族をかばって被弾 死亡の元消防士追悼≫集会で銃撃によって死亡した参加者は、元消防士のコーリー・コンパートアさん(50)だった。ペンシルベニア州のシャピロ知事が明らかにした。一緒にいた家族をかばって被弾したとし「ヒーローとして亡くなった」と称えた。妻と娘2人を持つ「熱烈なトランプ氏の支持者」で、集会を楽しみにしていたという。シャピロ氏は「家族と地域を愛する最高の人間だった」と悼んだ。バイデン大統領も14日の演説で追悼した。

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