安倍氏事件重なる警備の甘さ 射程内で容疑者の存在なぜ許した 警護隊と現地警察との“溝”

2024年07月16日 04:40

社会

安倍氏事件重なる警備の甘さ 射程内で容疑者の存在なぜ許した 警護隊と現地警察との“溝”
トランプ前米大統領に覆いかぶさる大統領警護隊員ら Photo By AP
 トランプ前大統領に対する銃撃事件で、警備態勢に不備があったのではないかとの批判が高まっている。共和党は大統領警護隊(シークレットサービス)の責任を追及する動きを加速。バイデン大統領は14日の演説で、独立した調査・検証をするよう関係機関に指示したと明らかにした。
 共和党が多数派を形成する下院。監視・説明責任委員会のコマー委員長は「国民は答えを求めている」などと警護隊に対して説明を要求。22日の公聴会に警護隊のチートル長官を呼びつけ、証言するよう迫った。

 焦点は、約150メートル離れたトランプ氏まで遮るものがない射程内で、なぜ容疑者の存在を許したのかだ。

 集会会場では、入場時に金属探知機をくぐるなど「空港並み」と称されるセキュリティーが敷かれており、至近距離からの銃撃は困難。このため、容疑者は射程の長いライフル銃を使った会場外からの犯行を計画したとみられる。発砲地点は会場に隣接する建物の屋上だった。

 現職大統領が集会を開く際は、周辺道路を含めて通行止め。事前登録を済ませた参加者や報道関係者以外は会場に近づくことも難しい。大統領経験者も警護対象ではあるが、会場周囲への接近は可能。不審人物が屋上へ接近することは予見できたとも言え、集会開始前のみならず、演説開始後も含めたドローンなどによる上空からの監視の怠りが指摘されている。

 一方、警護隊は会場内、現地警察が外を担当する管轄分けのあり方なども問題視されそうだ。トランプ氏の登壇5分前の時点で、ライフルを持った容疑者が屋上にいるとの情報は警察に寄せられていた。はしごで屋根に上がった警察官が銃口を向けられ、引き下がった直後に発砲。対応能力の練度が検証課題になりそうだ。警護隊の狙撃手は発砲直後に容疑者を射殺。屋上での存在を認識していたとみられており、現地警察との連携体制も問われるとみられる。

 2022年の安倍晋三元首相銃撃事件でも問われたのは、警護・警備の態勢と配置。下院のジョンソン議長はNBCテレビで「議会は完全な調査を行う」と明言。大統領外遊先の警備も自分たちで担う警護隊だが、組織体制や警備計画の立て方など、徹底的な検証にさらされそうだ。

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