被爆から79年 広島原爆の日 核抑止論台頭で廃絶に逆行 核兵器禁止条約への参加要請も首相は否定的
2024年08月07日 05:30
社会
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一方、式典のあいさつで昨年同様、条約に言及しなかった岸田首相は被爆者に対しても「核のない世界に向けて前進したい」と述べるにとどめた。面会後、広島県原爆被害者団体協議会の箕牧智之理事長(82)は「日本の姿勢は全く後ろ向きだ」と嘆いた。
国際情勢も核廃絶を目指す流れに影を落とす。ウクライナ侵攻から2年以上たつが、停戦の見通しは立たない。ロシアは核使用の脅しを繰り返している。中東でもイスラエルがパレスチナ自治区ガザを攻撃。イスラム組織ハマスの最高指導者暗殺でイランとイスラエルの関係が緊迫している。
東アジアでは、韓国との対決姿勢を鮮明にする北朝鮮や軍拡を進める中国をにらみ、日米両政府は7月、核抑止力を含む「拡大抑止」の強化に合意。米国の核兵器への依存を強めている。
広島県の湯崎英彦知事は式典で「大国が公然と国際法違反の侵攻や力による現状変更を試みる」と批判した。
被爆者健康手帳を持つ全世界の被爆者は10万6825人で平均年齢は85・58歳(今年3月末時点)。体験の継承が課題となっている。