ゼレンスキー大統領 徹底抗戦に決意も市民には疲労感 ロシアから侵攻2年半 和平の兆しなし

2024年08月25日 05:30

社会

ゼレンスキー大統領 徹底抗戦に決意も市民には疲労感 ロシアから侵攻2年半 和平の兆しなし
24日、戦没兵士の遺影が掲げられた壁に花を手向けるウクライナのゼレンスキー大統領=キーウ(大統領府提供・AP=共同)
 ロシアのウクライナ侵攻開始から24日で2年半となった。ゼレンスキー大統領は同日の声明で「領土を奪った敵に必ず借りを返す」と述べ、ロシアに徹底抗戦する決意を示した。ただ市民には疲労感も漂い、和平交渉に向け領土割譲を容認する意見も出ている。政権は交渉も選択肢だとのシグナルを発するが、ロシア西部への越境攻撃が今月始まり、戦闘継続への支持も根強い。戦火がやむ見通しはない。
 祖国防衛の戦いでウクライナの戦死者は3万人を超え、民間人も1万人以上が犠牲になった。24日はウクライナの独立記念日で、米外交当局がロシアによる攻撃が強化される危険性を警告する中、各地で市民らが犠牲者を弔った。

 「空襲警報にももう慣れてしまった」。首都キーウ中心部にある戦没兵士の追悼スペースを訪れたオレナさん(28)が声を落とした。警報の度に娘(3)をなだめる不安な日々が続く。
 「ロシア側が制圧した全地域の返還が最低条件。(占領地を手放さないロシアと)交渉できるとは思えない」。キーウ市郊外に住むウォロディミルさん(21)が嘆いた。和平条件で双方の隔たりは大きく、市民の間でタブー視されていたロシア支配地の割譲容認論が広がる。5~6月の世論調査では「和平実現には、一部領土の割譲しかない」との回答が32%に上った。
 ロシアが攻勢を強める東部で苦戦を強いられ、無人機やミサイルによる市街地攻撃もやまず、市民の犠牲に歯止めがかからない。キーウ市近郊に住むオレクサンドルさん(22)は「平和への希望を持てない」と失望をあらわにした。
 戦況を好転させて交渉で主導権を握りたいウクライナは今月上旬、ロシア西部クルスク州を越境攻撃し、約1200平方キロの制圧を発表。「防衛はうまくいっている面もある」とウォロディミルさん。ウクライナ側は制圧地域を交渉材料にしたいとの思惑だが、ロシア側は越境攻撃中の交渉開始を拒否する姿勢を見せており、和平は遠い。

おすすめテーマ

社会の2024年08月25日のニュース

【楽天】オススメアイテム