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母と同じ涙の2位が成長の出発点 卜部、女子800制し23年ぶり中距離2冠

2019年07月01日 05:40

陸上

母と同じ涙の2位が成長の出発点 卜部、女子800制し23年ぶり中距離2冠
<日本陸上競技選手権大会>女子800メートル決勝、優勝した卜部=右(撮影・岡田 丈靖) Photo By スポニチ
 【陸上日本選手権最終日   女子800メートル ( 2019年6月30日    福岡・博多の森陸上競技場 )】 女子800メートルで、卜部蘭(24=NTTC)が主戦場の1500メートルに続いて優勝した。中距離の2冠は、96年早狩実紀以来、23年ぶり9人目の偉業になった。
 4番手で2周目に入り、残り300メートルからエンジンをかけた。最後のカーブでグイっと伸びて先頭に立つと、直線でも脚色は鈍らなかった。

 「1500メートルの感覚が残っていたので、スタートで出遅れると思った。持ち味は持久力だと思っていた。無我夢中で最後まで走り抜けたと思う」

 母の由紀子さん(54=旧姓田島)は、日本選手権の1500メートルで2位になったトップランナーだった。昨年、娘も同種目で2位。0秒20の僅差で敗れた。

 「母も胸の差で負けたらしくて。だから、私の結果に涙を流して。その母の涙を見て、悔しさが伝わった」

 小学生のころ、自宅から国立競技場界隈まで3キロの道のりを、母と一緒に走って、陸上教室に通った。歩き始めたときに手を支えてくれたように、走ることを始めた時も、すぐ隣で見守ってくれた。陸上についての技術や心得も、これまでいろいろと教えてくれたはずだが、記憶に残っているのは、そんな温かい記憶だ。

 昨年、母と同じ「胸の差の2位」の悔しさを味わった。この1年は「練習で走る距離を倍以上に増やした」。その成果は母子の悲願だった日本一、それも2冠になって表れた。

 父・昌次さん(53)は中大で箱根駅伝を走った。現在は東京・保善高校で陸上部顧問を務める。陸上一家に生まれたサラブレッドは「(家族に)世界で活躍する姿を見せたい」と、1500メートルで海外の強敵に挑むことを、最大の目標にしている。

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