データで見る八村の第25戦 試合中での負傷に見るNBAのきびしさ

2019年12月17日 12:27

バスケット

データで見る八村の第25戦 試合中での負傷に見るNBAのきびしさ
ピストンズ戦に先発したウィザーズの八村(AP) Photo By AP
 ウィザーズの八村塁(21)が16日にデトロイトで行われたピストンズ戦の終了間際に股間を強打。後半は出場しなかった。チーム側の発表によれば「GROIN CONTUSION(鼠径部の挫傷)」。重傷ではないもようだが、直後に顔をしかめてうずくまっているだけに数日間は経過を見る必要があるかもしれない。
 
 今季のNBAのルーキーで、この日を迎えるまで全試合に先発していたのはヒートのドラフト外の新人ガード、ケンドリック・ナン(24=27試合)、ドラフト全体5番目でキャバリアーズに指名されたガードのダリアス・ガーランド(19=27試合)と9番目指名だった八村(25試合)の3人だけ。12番目指名で開幕から28戦連続で先発していたホーネッツのフォワード、P・J・ワシントン(21)は右手の小指を骨折して、29試合目となった15日のペイサーズ戦を欠場。連続記録は途絶え、手術も受けたために今後の出場は不透明になった。

 ピストンズ戦を迎えるまで八村の12月の1試合平均出場時間は新人の中では最長の36・9分(フル出場は48分)。チームに故障者続出という事情があり、11月の24・8分から一気に12分近く増えていた。

 すでに「4日間で3試合」というNBAの中でもっともきつい日程をウィザーズは4回消化。18日のブルズ戦からも20日のラプターズ戦、21日の76ers戦と今季5回目の“胸突き八丁”が待っているが、単なる股間の強打でなければ八村の先発継続も考え直す時期かもしれない。

 今季の1試合平均出場時間で最長タイムを記録しているのは得点部門1位(37・8)のジェームズ・ハーデン(30=ロケッツ)で37・8分。2位は八村同様に故障者続出のウィザーズを支えているブラドリー・ビール(26)と、昨季王者のラプターズで新・大黒柱となっているパスカル・シアカム(25)の36・8分で、12月の月間記録とは言え八村はこの3人とほぼ同じプレータイムをこなしていたのである。

 八村の体重は登録では230ポンド(104・3キロ)。これをもとに36・9分にわたってバスケットボールをプレーすると消費されるのは500キロ・カロリー前後だが、ここにはハードなスケジュールによる移動などの疲れは考慮されていない。さらに米国内を移動すると最長で3時間の時差があり、体調を維持するのは日本にいるときよりもはるかに難しいだろう。

 1961年にウィザーズの前身となるシカゴ・パッカーズが誕生したとき、ドラフトでトップ指名を受けたセンターのウォルト・ベラミー(2013年に74歳で他界)は31・6得点を挙げて新人王に輝いたが、それでも1試合を欠場(出場は79試合)。ドラフト上位指名選手のデビュー年での全試合先発によるフル出場と言えば、1984年のマイケル・ジョーダン(ブルズ=82試合)らがいるものの、この“壁”を乗り越えていくのは並大抵なことではない。ある意味、日本人として初めてドラフトで指名された選手がよくぞここまで頑張ったとも感じている。だからもし万全でなければ中1日で迎える次戦のブルズ戦は休むべき。まだ先は長く、道はさらに険しいからだ。(高柳 昌弥)

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