引退の鶴竜親方会見 解放感でいっぱい、夢も語る「横綱育てたい」

2021年03月26日 05:30

相撲

引退の鶴竜親方会見 解放感でいっぱい、夢も語る「横綱育てたい」
同じ一門の井筒親方から花束を送られた鶴竜親方(日本相撲協会提供) Photo By 提供写真
 【大相撲春場所12日目 ( 2021年3月25日    両国国技館 )】 土俵への未練よりも、現役を終えた解放感でいっぱいだった。
 年寄「鶴竜」を襲名し、オンライン会見に臨んだ鶴竜親方は「何かから解放された気持ち。常に頭の中に相撲のことを考えてやってきた。それが今なくなって、解放されて、うれしいというか、ホッとしている」と晴れやかな表情を見せた。

 昨年11月場所後、横綱審議委員会(横審)から引退勧告の次に重い「注意」が決議された。進退を懸けるはずの春場所前にケガをして休場。当初は夏場所での再起を目指したが、「早く治るかと思ったが長引いた。体をもう一回つくるのは大変。その中で気持ちが切れてしまった。体も悲鳴を上げ、中途半端では上がれないと思って引退を決めた」と苦渋の決断を下した。

 6歳になる長女アニルランちゃんにも「もうパパはお相撲さんじゃなくなるよ」と引退を報告。「え、何になるの?」と返ってきたため、「相撲を教える先生になるよ」と答えると「え、いいじゃん」と喜んでくれたという。家族とのやりとりを笑顔で明かすと「一番身近で支えてくれた奥さん(ムンフザヤ夫人)に感謝したい」と頭を下げた。

 今後は親方としての手腕が期待される。「それぞれ性格も違うし、体つきも違う。自分が経験してきたことを押しつけるのではなく、それに合わせて指導していけたら。横綱、大関、協会の看板を背負っていける力士を育てていきたい」。引退前は休場が続いて苦しんだ土俵人生。新たな夢へと挑戦する鶴竜親方の目が輝きを取り戻した。

 【記者フリートーク 相撲担当・原口公博】日本語を操ることにかけて、鶴竜は外国出身で角界屈指という印象だ。母国モンゴルの高校生だった15歳のアナンダ少年は01年に日本相撲協会をはじめ関係各所へ日本語で相撲への情熱をつづった手紙を送った。大学教授だった父の同僚に訳してもらった。

 入門後は師匠の井筒親方(元関脇・逆鉾、故人)から辞書を贈られ、我が子に教えるように仕込まれた。おかげで日本語の新聞を読み、ダウンタウン・松本人志の「すべらない話」で大笑いする。

 スポーツ観戦が趣味でサッカーに造詣が深い。W杯では日本代表の試合が朝稽古の時間と重なると「家で(日本の試合を)見ようと思います」。場所中ではなかったが稽古を見合わせて力のこもる応援ぶり。相撲以外でも日本になじんだ。取組で敗れた後も悔しさを抑えた丁寧な言葉遣いは最高位に就いても変わらず。親しみを込め「お相撲さん」と呼びたい力士だった。

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