ディーン元気 東京五輪中も釣りに没頭 復活劇の裏にあった覚悟の休養 日本選手権で10年ぶりV
2022年06月15日 07:00
陸上
英国人の父、日本人の母のもと、兵庫県で生まれ育った。早大3年だった12年にロンドン五輪に出場。いきなり決勝に進出して10位に入り、さらなる飛躍が期待された。だが、その後に待っていたのは苦難の連続だった。「ケガをしまくって、投げようとしても体が守ってしまうのがずっと続いていた。それがなくなってきたのが、19年ぐらい」。18年には所属するミズノの理解を得て長期間の休養に入った。
「半年間ぐらい休ませてもらって、そこで体とメンタルがやっとリセットできた」。20年、そして21年の日本選手権で2位。だが、東京五輪には届かなかった。昨夏は約1カ月半もの間、ほぼ練習はせず、九州の海などに繰り出し、趣味の釣りに没頭。五輪をテレビで見る機会は限られていたようで「釣りに熱中していてあまり暇がなかった」と笑う。
心身ともにリフレッシュした状態で迎えた今季。1月から約3カ月間の海外合宿をこなした成果もあり、4月の木南記念、そして日本選手権を制した。「イケイケドンドンだった」という10年前に比べ「もうベテランなので」と笑う顔にはしわが増えた。その分、経験値は確実に増しており、現在は助走時の下半身の流れを最も意識している。
「普通にやれば、日本記録は出ると思っている。85メートル以上を投げられる選手になりたいし、風や気象条件が合えば90メートルを目指せるようになりたくて、やり投げをやっているので」
まだ世界選手権(7月、米オレゴン州)の出場は決まっていないものの、海外の大会で参加標準記録(85メートル)の突破を狙う。2年後のパリ五輪も見据えながら、挑戦を続けていく。