「天才」と呼ばれ恥ずかしかった過去…陸上・福部真子の美しい復活劇 高校総体3連覇から真の日本一へ

2022年06月15日 18:05

陸上

「天才」と呼ばれ恥ずかしかった過去…陸上・福部真子の美しい復活劇 高校総体3連覇から真の日本一へ
陸上・日本選手権の女子100メートル障害で優勝し、笑顔を見せる福部 Photo By スポニチ
 雨に濡れたトラックを、リズミカルに駆け抜けた。11日の陸上・日本選手権(ヤンマースタジアム長居)の女子100メートル障害を13秒10で制した、福部真子(26=日本建設工業)がたどり着いた至福の時。これまでの雌伏の時に思いをはせ、スマイルの後に涙が光った。
 「今日は勝ちにこだわったレースをしたかったので、それが体現できて良かった。世代別ではタイトルを獲れていたけど、日本選手権で表彰台に上がれたということは、自分の中でも大きな進歩だと思う」

 広島皆実高時代に全国高校総体(インターハイ)の100メートル障害で3連覇を達成。未来は明るいように見えたが、周囲の視線は重圧となり、右肩上がりの成長曲線は消えた。

 「『インターハイ3連覇の福部真子』とずっと見られてきた。天才、天才と言われて、それが恥ずかしかった時期もあった」

 日体大進学以降、思うような結果を残せなかった。伸び悩み「苦しかった」と明かすが、真摯に汗を流してきた。「次はどうしようか、とずっと考えてきた」。トップに立つ日を、誰よりも自らが信じていた。

 決勝前日の10日には、中学時代から親交がある同学年の君嶋愛梨沙(土木管理総合)が女子100メートルで初優勝。これ以上ない刺激だった。「君嶋が優勝しているのを見て、自分も続きたいと思っていた。君嶋と(一緒に)優勝を獲れてうれしい」と笑みを浮かべた。

 自己ベストは5月にマークした13秒05。世界選手権の参加標準記録(12秒84)とはまだ差がある現状だが、最大目標の24年パリ五輪を見据える26歳は、「12秒台はいつでも出せるように感じている」と自信を見せる。世代別ではない真の日本一。美しい復活劇から、世界への挑戦が始まった。

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