吉本ひかる 涙の初優勝“黄金世代”12人目「良い景色を見られてうれしい」一時逆転許すもPO持ち込み

2023年03月13日 04:30

ゴルフ

吉本ひかる 涙の初優勝“黄金世代”12人目「良い景色を見られてうれしい」一時逆転許すもPO持ち込み
優勝インタビューで涙を見せる吉本ひかる(撮影・井垣 忠夫) Photo By スポニチ
 【女子ゴルフツアー明治安田生命レディース最終日 ( 2023年3月12日    高知県 土佐CC=6228ヤード、パー72 )】 プロ7年目の吉本ひかる(24=マイナビ)が自身初のプレーオフを2ホール目で制し、ツアー初優勝をつかんだ。最終ラウンドは2打差トップから4バーディー、1ボギーの69。67をマークしたささきしょうこ(26=日本触媒)に通算19アンダーで並ばれたが、今大会10回目となったプレーオフで下した。1998年度生まれの“黄金世代”で12人目の王者誕生となった。
 どん底からはい上がってきたからこそ、最高の景色を見ることができた。自身初のプレーオフ、2ホール目。10メートルのバーディーパットをねじ込んで勝負を決めた。プロ7年目。やっとつかむことができた初優勝に、吉本の涙は止まらなかった。

 「つらい時期の方が多かったけど、自分も優勝できると信じてやってきてよかった。凄いうれしい。良い景色を見られてうれしい」

 これまでの歩みに似た最終日だった。9番で第2打がシャンクしてボギー先行。2打リードを追いつかれ、追い抜かれ、一時は3打差をつけられた。だけど諦めない。「弱気になるのはやめよう」。後半4バーディーで追いつき、プレーオフに持ち込んでみせた。

 黄金世代の一人で、19年にはトップ10が8度。時間の問題と思われた初勝利への期待は、21年8月の試合での一打で暗転する。第1打が右にプッシュし、クラブを振ることが「怖くなった」。1Wの飛距離は190ヤードに落ち込み、シードを喪失。秋のQTで、第2打はほぼ3Wでパーを拾うのがやっと。帰りの車中、常に同行して支えてくれている姉・百花(ももか)さん(25)と2人で泣いた。

 「甘かった」と自分を見つめ直し、「5年頑張ろう」と決意した。翌22年1月、松山英樹のトレーナーでもある飯田光輝氏(46)の門を叩いた。ずっと「感覚」だったスイングで、体の動きを意識するようになった。この変化が、復調へのきっかけだった。

 女子ゴルフ界の中心、黄金世代12人目の王者誕生。万感の思いと同時に、次なる目標も生まれた。「もっと優勝したいなって」。24歳は、新たな景色へと視線を向けた。

 ≪姉妹タッグ“初V”狙う≫吉本は両親と3人の姉妹が見守る中で初優勝を飾った。マネジャー兼キャディーとして支える姉・百花さんは「本当に良かったです。練習が実って良かったねって伝えたい」と涙を拭った。今週はバッグを担がなかったが、2週後のアクサ・レディースからキャディーを務める予定で、姉妹タッグでの“初V”を目指す。中島敏雅コーチは「いつも一生懸命トレーニングをしていた。体が強くなって、アドレスも球も変わった」と、愛弟子の成長に目を細めていた。

 ◇吉本 ひかる(よしもと・ひかる)1999年(平11)2月25日生まれ、滋賀県出身の24歳。9歳でゴルフを始める。17年7月のプロテストに合格し、同年に下部ツアーで1勝。昨季メルセデスランク68位でシード獲得はならずも、今季はQTランク28位の資格で出場。師匠は中島敏雅プロ(50)。滋賀短大付高卒。名前の由来は生まれた時にブレークしていた宇多田ヒカル。4人姉妹の次女。1メートル52、53キロ。

 ≪“黄金世代”日米通算46勝目≫98年度生まれの黄金世代で吉本は12人目、日米通算46勝目となった。同世代には日米通算11勝を挙げている畑岡奈紗を筆頭に、日本8勝の勝みなみと小祝さくら、メジャーを含む日米通算7勝の渋野日向子ら。また、今大会は前身を含めて14回目の開催で、実に10度目のプレーオフ決着となった。

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