阿部兄妹 パリは一二三から詩の金リレー 東京五輪とは逆の兄→妹で連覇狙う

2023年07月01日 04:55

柔道

阿部兄妹 パリは一二三から詩の金リレー 東京五輪とは逆の兄→妹で連覇狙う
笑顔を見せる阿部一二三と阿部詩(撮影・小海途 良幹) Photo By スポニチ
 来年のパリ五輪柔道日本代表に早期内定した男子66キロ級の阿部一二三(25)、女子52キロ級の詩(22=ともにパーク24)兄妹ら4人が30日、東京・講道館で報道陣の取材に応じ、1年1カ月後の本番へ抱負を語った。そろって2連覇を狙う阿部兄妹だが、パリ大会は詩にとって苦い経験のある男子→女子の決勝順。トラウマを克服し、来年7月28日を、再び「阿部家の日」にする。
 前夜は地元神戸に残り1人で暮らす父・浩二さんも上京し、家族で代表内定を祝ったという阿部兄妹。「2連覇することを強く思っているので、喜びはあるが、まずはホッとした気持ちが大きい」と穏やかな笑みを浮かべて語った詩だが、ある事実を知らされると、一瞬表情を曇らせた。

 パリ大会は男女平等を掲げ、120年を超える近代五輪史で初めて、参加選手数が同数となる。その一環で男女各1階級ずつ実施される柔道は、決勝順が毎日入れ替わる。阿部兄妹の競技日は男子→女子の順。昨年には決定していたが、初めてその事実を知った詩は「不安。今、不安になりました。大阪の時のトラウマがあるんで」と思わず漏らした。

 東京五輪と18、22、23年世界選手権はいずれも詩→一二三の決勝順で兄妹制覇。一方、複数階級実施の19年11月のグランドスラム大阪大会で、兄の直後に決勝を迎えた詩はブシャール(フランス)に初黒星を喫し、東京五輪の早期内定を逃した。「変なプレッシャーがかかった。経験したことがない気合の入り方」で空転。もちろん、同じ失敗を繰り返すつもりは毛頭ない。

 柔道大国フランスでの戦いは大アウェーになりそうだが、「余計に勝ってやろうと燃える。嫌いじゃない。心技体、全てを100%にして、力を発揮できるようにしたい」と詩。「フランスといえばエッフェル塔」という名所のそばにあるシャンドマルス・アリーナで、家族そろって喜び合う日まで、一日一日、鍛錬を積む。

 ≪一二三「いい流れを」≫東京五輪では最後に代表決定した一二三だが、今回は男子唯一の早期内定。「いろんな思いがある」と感慨深げだった。前回は7カ月半で本番を迎えたが、今回は1年1カ月と時間的な余裕も十分。それでも「1年って僕自身は短いと思っている。新しい技に取り組むのはなかなかできない。自分の柔道を研ぎ澄ませていく」と宣言。決勝順に不安を漏らした妹・詩には「僕が先に金メダルを獲って、いい流れをつくりたい」と気遣った。

 ≪女子48キロ級・角田 階級変え夢つかむ≫初五輪を日本柔道女子最高齢の31歳で迎えることになる女子48キロ級の角田夏実(SBC湘南美容クリニック)は「諦めないことが大事。勝ちたい思いと柔道が好きだという思いで頑張ってこられた」と話した。19年途中までは52キロ級だったが、阿部詩らとの代表争いから脱落し、思い切って階級転向。巴投げと絞め技を武器に世界選手権3連覇で五輪切符をつかんだ。年齢もあり「ケガすると全部パーになる」と慎重に本番へ照準を合わせる。

 ≪女子70キロ級・新添「自分のペースで」≫恵まれた体格と切れる内股で5月の世界選手権を制し、初の五輪切符をつかんだ女子70キロ級の新添左季(自衛隊)は、前日会議があったことを知らず、「普通にテレビを見ていた」ところ、内定通知をもらい「準備期間をもらったので、大事に使って万全の状態で迎えたい」と意気込んだ。同階級は日本勢が過去5大会で4度金メダルを獲得。パリでは日本勢3連覇が懸かるが、「責任も感じるが、自分のペースでやっていきたい」と話した。

おすすめテーマ

2023年07月01日のニュース

特集

スポーツのランキング

【楽天】オススメアイテム