堀川隆延氏がラグビーW杯日本代表を総括 リーグワンの移籍活発化で選手層底上げを

2023年10月10日 04:33

ラグビー

堀川隆延氏がラグビーW杯日本代表を総括 リーグワンの移籍活発化で選手層底上げを
アルゼンチンに敗れた日本代表フィフティーン Photo By スポニチ
 【ジョセフHC“参謀”堀川隆延 深掘り】ラグビーW杯フランス大会で日本代表は8日のアルゼンチン戦に敗れ、1次リーグ敗退が決まった。2大会連続の決勝トーナメント進出を逃した要因は何か、また次の4年を見据えた代表強化には何が必要か。今大会限りで退任するジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(53)の参謀を務めた静岡ブルーレヴズの堀川隆延アシスタントコーチ(50)が、総括と提言を行った。
 日本の選手は80分間、持っている力の全てを出し切った。セットプレーではスクラムでプレッシャーをかけ続け、独自のスクラム文化を持つアルゼンチンからもペナルティーを奪うなど、長谷川コーチが選手と取り組んできた成果を発揮した。アタックでも戦略家のブラウン・コーチらしい仕掛けで素晴らしいトライを見せた。

 スタッツ上はほぼ互角の結果だった。ボール保持率は日本が48%、地域支配率は51%。タックル成功率は日本の86%に対して相手は81%と上回った。唯一差があったのが、3秒以内のボールリサイクル率(ラックからボールを出すまでの時間)で、日本の50%に対し、相手は68%。80分間を通じて、アルゼンチンはモメンタム(勢い)をつくり続けた。

 要因は相手の攻撃に1対1の状況をつくらされたことにある。日本の防御の強みは素早いラインスピードとタックル局面で2対1をつくり続けることだが、深いラインからトップスピードで走り込む走者に対し、1対1の局面をつくられる回数が多かった。またハイボールの競り合いでも相手バックスリーに勢いを与えて獲得された。

 前の試合で主力を温存していた相手は、各選手の動きも抜群だった。逆に日本は主力に休養を与える余裕がなく、4試合連続で先発した選手が稲垣、リーチ、松島ら8人を数えた。強豪国に共通して言えることは、選手層に厚みがあること。次のW杯に向けてどうやって厚みをつくるかは、重要な課題となる。

 リーグワンの指導者として、まずはリーグそのもののレベルを上げることが責任と考えている。そのためには抜本的なルール変更も必要だろう。例えば現状で日本人選手の移籍ルールが非常に厳しいが、選手の流動性を高め、より出場機会を増やすことで底上げにつながる。また競技規則そのものに独自のルールを導入してもいい。以前、清宮さん(現日本協会副会長)とも話したが、世界で日本の戦略に優位性をつくるためのルールやポジションによって外国人選手の出場を規制するなど、アイデアを持ち寄れば独自性を出せる。

 夏季と秋季の代表活動についても、正規代表とは別にナショナルデベロップメントスコッド(NDS)を組んで海外での試合を経験させることで、間違いなく選手層の厚みをつくることができる。育成レベルの強化機関を常設することは重要で、予算の面でも可能ではないか。日本代表と選手を送り出す側のチームが共存共栄する道は必ずある。日本協会が真剣に取り組む姿勢を示してくれれば、私たちチーム側も惜しみなく協力したい。

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