【記者の目】日大 隠ぺい疑われる対応が「名門」を廃部に追い込んだ 大学幹部も重大性認識せず

2023年11月30日 04:40

アメフト

【記者の目】日大 隠ぺい疑われる対応が「名門」を廃部に追い込んだ 大学幹部も重大性認識せず
日大アメフト部の寮
 今回の薬物事件は、昨年10月に保護者から部の指導陣に大麻使用の情報提供があった段階できちんと調査し、大学の上層部に報告した上で警察に届け出ていれば単なる「不祥事」で終わっていたはずだ。
 ところが部の指導陣はおざなりの調査しかせず、今年7月になって寮内で大麻とみられる植物片を発見した際にも沢田副学長らはすぐに警察に通報しようとはしなかった。部の指導陣も大学の幹部も誰ひとりとして事の重大性を認識せず、隠蔽(いんぺい)と言われても仕方がないような対応に終始した挙げ句、名門「フェニックス」を廃部に追い込んだ責任はとてつもなく大きい。

 もちろん、最も非難されるべきは薬物に手を染めた一部の部員たちだが、チームとして活動している以上、寮内外にかかわらず他の部員も何らかの情報に接する機会はあったはずだ。体育会系特有の上下関係の厳しさを考慮しても、事ここに至っては全体責任としての廃部もやむをえないだろう。

 ただ、大学の部活動はあくまでも教育の一環だ。アメフト部員として特別推薦で入学した選手たちを今後どうサポートしていくのか。大学側は今度こそ対応を誤ってはならない。(編集委員・藤山 健二)

おすすめテーマ

2023年11月30日のニュース

特集

スポーツのランキング

【楽天】オススメアイテム