【玉ノ井親方の視点】単独トップの琴ノ若「大の里より1枚も2枚も上手だった。精神的にも成長した」

2024年01月23日 19:14

相撲

【玉ノ井親方の視点】単独トップの琴ノ若「大の里より1枚も2枚も上手だった。精神的にも成長した」
<大相撲初場所10日目>大の里(手前)との取り組みで、気迫の表情を見せる琴ノ若(撮影・木村 揚輔) Photo By スポニチ
 【大相撲初場所10日目   ●大の里(寄り切り)琴ノ若○ ( 2024年1月23日    東京・両国国技館 )】 大の里と琴ノ若の注目の一番。結果は番付通り、琴ノ若の方が1枚も2枚も上手だった。
 取組前は負けられない立場の関脇の方が、意識して硬くなるかと思っていたが、逆だった。大の里は仕切りの時からいつもと違って緊張している様子だった。私も現役時代に三役力士と初めて対戦した時は、館内の雰囲気がそれまでとは全く違う景色に見え、硬くなった記憶がある。

 勝負の明暗を分けたのは立ち合い。大の里は相手の体を起こそうとして、もろ手で当たっていった。私は右差しを狙ってくると予想していたので意外な印象を受けた。

 一方の琴ノ若は右差しを警戒して腕をクロスさせながら、もろ差し狙いで胸から当たった。もろ手の大の里の脇が空いたため、すぐに右を差し、左も入ってそのまま前へ。

 こうなれば琴ノ若の展開。相手の上体を浮かせると、あっさり寄り切った。

 立ち合いの当たり、体の寄せ方、すべて琴ノ若の相撲だった。

 今場所の星数次第では、大関の地位が見えてくる流れ。白星の数に加え、相撲内容という意味でも新入幕の相手には負けられない一番だった。

 普通ならプレッシャーがかかって不思議ではなかった。だが、落ち着いて普段と同じ相撲を取った。精神的にも、ここ数場所で随分成長した。

 これで賜杯争いの単独トップに立った。だが、大関、横綱も日ごとに調子を上げてきている。ここからの終盤戦が本当の勝負だ。星数や優勝を意識すると自分の相撲が崩れてしまう。まずは、一番一番に集中することが大事だ。

 大の里は右を差して、相手を起こしてから何かを仕掛けていこうと考えたのかもしれない。だが、上位には今日のような立ち合いでは通用しないと良い勉強になったはず。

 あす11日目の豊昇龍戦は、右を差して前に出る自分の形を思い出して、思い切りぶつかっていってほしい。(元大関・栃東)

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