兄弟弟子への暴行発覚の北青鵬 幼少時から続く横綱との太い「縁」 結果的に恩を仇で返す形に…

2024年02月21日 22:45

相撲

兄弟弟子への暴行発覚の北青鵬 幼少時から続く横綱との太い「縁」 結果的に恩を仇で返す形に…
2023年2月、新入幕を果たし元横綱・白鵬の宮城野親方(右)とともに会見で笑顔を見せる北青鵬 Photo By スポニチ
 大相撲の幕内・北青鵬(22=宮城野部屋)が複数の兄弟弟子に暴行を働いていたことが21日、関係者への取材で分かった。日本相撲協会は23日に臨時理事会を開き、処分を決める。平成の大横綱、白鵬との強い「縁」でここまで上り詰めてきた将来性あふれる大器だが、結果的に師匠への恩をあだで返すことになってしまった。
 北青鵬は幼少期はモンゴルで過ごし、母親の語学留学にともなって5歳の頃に来日。小学校入学前に、白鵬との最初の「縁」があった。居住地の札幌とモンゴルを往来する際に当時、現役だった白鵬と偶然、空港で“遭遇”。一緒に写真に収まるなど交流し、白鵬からは「相撲をやってみたら?」と勧められた。現役中から国を問わず、相撲の競技人口拡大に尽力していた母国の“レジェンド”の言葉が相撲を意識する最初のきっかけとなった。

 言葉通り、小1から札幌相撲スポーツ少年団で相撲を始め、中学校は鳥取西中へ相撲留学。中学時には厳しい環境やホームシックに耐えられず、鳥取を離れて札幌へと戻ったこともあった。だが、そこでも白鵬の存在が相撲への意欲を取り戻す契機となる。

 札幌巡業中の白鵬と再会。様々な言葉を交わし、激励されたことで再び、相撲道をまい進することを誓う。中学では白鵬が主催する、子どもすもう大会「白鵬杯」にも出場して活躍するなど、着実に実力を伸ばしていった。高校は鳥取城北へと進み、卒業後に宮城野部屋に白鵬の内弟子という形で入門。入門後すぐに才能は発揮された。

 20年名古屋場所では序ノ口で全勝優勝。続く秋場所では序二段で全勝優勝。そして九州場所では三段目で全勝優勝を成し遂げた。21年秋場所で新十両昇進を果たし、その後、右膝のケガで幕下陥落を経て22年名古屋場所で再十両。23年春場所で新入幕を果たした。新入幕の会見の際には、無邪気な笑顔で「こうして師匠と一緒に会見できる日が来たことを凄くうれしいと思います」と喜んでいた。

 2メートル4は現役力士最長身。曙、琴欧洲に並ぶ平成以降1位の長身でもある。四つ相撲だけでなく、突き押しにも威力があり、恵まれた体を生かしたスケールの大きな取り口が魅力。22年8月に移転した東京都墨田区の宮城野部屋は、旧東関部屋が以前に使用していた建物。元横綱・曙が使用していた部屋で生活するなど、白鵬のみならず「横綱」に深い縁があった。

 この日、東京・両国国技館で行われた会合では臨時理事会へ報告する処分や経過などをまとめたとみられ、北青鵬に対しては出場停止などの重い処分、さらに師匠の宮城野親方も監督責任を問われての降格処分となる見込みとなった。コンプライアンス委員会の会合に呼び出された北青鵬は「素直に反省している」と口にしたが、恩ある周囲の人間に及ぼす影響は大きい。

 ◇北青鵬 治(ほくせいほう・おさむ)本名=アリューナー・ダワーニンジ。2001年(平13)11月12日生まれ、北海道札幌市出身の22歳。モンゴルで生まれ、5歳の頃に来日。札幌相撲スポーツ少年団で小1から相撲を始め、鳥取西中へ相撲留学。鳥取城北高3年時に全国高校金沢大会準優勝。宮城野部屋に入門し、20年春場所で初土俵。同年名古屋場所で序ノ口優勝。翌秋場所で序二段優勝。翌11月場所で三段目優勝。デビューから21連勝は高卒では史上1位の記録。21年名古屋場所で幕下優勝。同年秋場所で新十両。その後、右膝のケガで幕下陥落を経て22年名古屋場所で再十両。23年春場所で新入幕。通算成績134勝72敗44休。幕内成績41勝40敗9休。幕内在位6場所。身長は現役最長身の2メートル4。体重は182キロ。

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