バドミントン山口茜「新鮮な気持ちで楽しめたらいい」パリ五輪本番会場で前哨戦フランスOP開幕

2024年03月06日 04:45

バドミントン

バドミントン山口茜「新鮮な気持ちで楽しめたらいい」パリ五輪本番会場で前哨戦フランスOP開幕
色紙に自身のテーマ「楽しむ」と書き込んだ山口茜(撮影・福永稔彦 Photo By スポニチ
 バドミントン女子シングルスで世界ランク4位の山口茜(26=再春館製薬所)がパリ五輪の前哨戦に挑む。8強で終えた21年東京五輪後は世界選手権で連覇を達成した一方、昨年は負傷で長期離脱した。さまざまな経験を経て3度目の五輪に向けて歩みを進めている。パリ五輪と同じ会場で開催されるフランス・オープンは5日に開幕。約1カ月半ぶりの国際大会となる山口は6日に初戦を迎える。
 過去2度の五輪はともに準々決勝で終わった。初出場だったリオは奥原希望との日本人対決に敗れた。負けた悔しさはあったものの達成感も感じた。

 「リオは勢いで出て、全部出し切っての負けだった。南米独特の盛り上がり方も新しい感じで楽しめたし、自分の攻撃の幅を広げられる可能性も見えた」

 第4シードで臨んだ東京は第6シードでリオ銀メダルのシンドゥ・プサルラ(インド)に0―2で屈した。

 「楽しむのが難しかった。選手村に入らなかったのでコロナもあって会場と宿舎の往復だけ。無観客で周りを感じることもなかった。開催に賛否両論があることは耳に入ってきた。その中でサポートや応援にどう応えるか考えた時に結果が一番だと。結果を意識しすぎて消極的なプレーが多かった」

 メダル候補の重圧を背負い、会場には観客がいない。自国開催の五輪は楽しめないまま終わった。大会後はモチベーションが低下。淡々と試合をこなしている状態だったが、海外を転戦し、観客で埋まった会場でプレーして改めて分かったことがあった。

 「欧州の会場は観客がたくさんいて盛り上がるので自分も楽しくなってプレーも良くなった。(22年)東京で行われた世界選手権も国内で久しぶりに観客が入って自然と楽しめる環境になった。それが凄く良かった」

 バドミントンを楽しむことで良いプレーができる。原点を思い出した山口は21、22年世界選手権を連覇。23年も順調だったが、9月に暗転する。アジア大会で右足を負傷し1カ月近く松葉づえでの生活を強いられ、約3カ月半も試合に出場できなかった。競技人生で初めての経験だった。それでも前向きに時間を有効に使った。

 「新しい経験ができた。リハビリ、患部外のトレーニングをしっかりしつつ気持ち的にゆっくりできた。試合が続いていたので体を休める時間になったのもプラスだった。松葉づえはうまくなる前に取れました(笑い)」

 体幹や上半身のトレーニングを積んだ。トレーナーの指導で、力を出しやすい体の動かし方を習得。古傷の肩のリハビリにも取り組んだ。SNSに珍プレー好プレーのダイジェスト動画を投稿するためプレー映像を編集している時には発見があった。「戦術や配球でパターンがある」。ラリー中に同じショットを選択する傾向があり相手に読まれていることを確認した。まさにケガの功名だった。

 今年1月のマレーシア・オープンで復帰し8強入り。翌週のインド・オープンでもプレー。2月は国内のS/Jリーグに参戦した。当初は「自分のリズムで動くことができなかった」。だが状態は徐々に良くなっている。

 フランス・オープンの会場はパリ北部に新設された「アディダス・アリーナ」。パリ五輪の会場でもある。「今までと違う会場なので新しい雰囲気を新鮮な気持ちで楽しめたらいい。100%のバドミントンで勝負したい」。初戦は6日。パリ五輪の前哨戦で山口が躍動する。

 ◇山口 茜(やまぐち・あかね)1997年(平9)6月6日生まれ、福井県勝山市出身の26歳。勝山南部ジュニア―勝山南部中―勝山高を経て16年再春館製薬所入り。5歳の時、兄の影響でバドミントンを始める。12年に史上最年少15歳で日本代表選出。13年ジャパン・オープンを日本人で初制覇。14年全日本総合選手権初優勝。18年4月に男女を通じシングルスで日本勢初の世界ランク1位。21、22年世界選手権連覇。1メートル56。血液型A。右利き。

 ≪フクヒロ初戦突破≫パリ五輪のテスト大会を兼ねたフランス・オープン第1日は各種目1回戦が行われ、女子ダブルスで福島由紀、広田彩花組(丸杉)が米国ペアに2―1の逆転勝ちで2回戦に進んだ。会場はパリ市内唯一の新設会場となる「アディダス・アリーナ」で、環境に配慮してリサイクル材料や木材を使っている。整備費に約1億3800万ユーロ(約225億円)をかけた。福島は「ヨーロッパスタイルで格好良く造られている。こういう会場で試合できるのがうれしい」と話した。

 ▽パリ五輪への道 23年5月1日~24年4月28日に開催された国際大会で獲得したポイントによるランキングで出場枠が振り分けられる。各国の出場枠には上限があり、シングルスは16位以内に2人以上入った国は2枠、それ以外は1枠。ダブルスは8位以内に2組以上入った国が2枠、それ以外は1枠となる。

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