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角田の巴投げはもはや達人の域 獲るべくして獲った金メダル 永山の不可解判定は検証必要

2024年07月29日 11:30

柔道

角田の巴投げはもはや達人の域 獲るべくして獲った金メダル 永山の不可解判定は検証必要
初戦の1回戦で一本勝ちを決めた女子48キロ級の角田夏実(右)(撮影・平嶋 理子) Photo By スポニチ
 【パリ五輪第2日 柔道女子48キロ級 ( 2024年7月27日    シャンドマルス・アリーナ )】 27日の女子48キロ級で角田夏実(SBC湘南美容クリニック)が金メダルを獲得した。日本の夏季五輪通算500個目の区切りのメダルは、04年アテネ五輪の谷亮子以来5大会ぶりとなる同級の金メダル。31歳356日は日本柔道女子最年長の頂点で、まさに記録ずくめの日本選手団今大会メダル第1号だった。男子60キロ級に出場した永山竜樹(SBC湘南美容クリニック)を含め、上水研一朗氏(50)が評論した。
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 状態が盤石とは言えない中で優勝した角田は、実力が頭2つ抜けていたことを証明した。絶対的な強さ、地力がある分、試合ごとに出力を調整できる強みがある。唯一苦戦した準決勝は徹底して防御され、何度かチャンスがありながら勝ちパターンに持ち込めなかった。若干、息は上がったものの、そこで出力を上げて組み手に圧力を加えている。それを相手が嫌ったことが勝因となった。

 巴投げに関しては、落とす方向を自在に変えることができ、もはや達人の域に達している。そして、見逃せないのが、組み力の強さ。相手をガチッと組み止められるからこそ、巴投げを掛けることができる。獲るべくして獲った金メダルだったと思う。

 永山は準々決勝で不可解な判定の末に敗れた。通常、絞め落とされると身体的、精神的にもパフォーマンスが落ちるが、そこから立て直して銅メダルを獲得したことは、大学時代に指導した身として誇らしく思う。

 「待て」がかかりながらも無視して絞め技を継続した挙げ句、一本が認められたことは、サッカーで言えばオフサイド判定が出て防御側がプレーを止めたのに、攻撃側が止めず、結局ゴールを認めてしまうようなもの。永山に“力を抜くな”というのは酷だ。安全面や倫理観が問われる行為で、SNSでもすでに多くの問題提起がなされている。今後の検証は必要と思われ、国際柔道連盟(IJF)がどう対応するか注視していきたい。 (東海大体育学部武道学科教授、男子柔道部監督)

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