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東京五輪マラソン出場選手がパリで100メートルに出たワケ 小国ならではの事情とは

2024年08月03日 20:36

陸上

東京五輪マラソン出場選手がパリで100メートルに出たワケ 小国ならではの事情とは
シャロン・フィリスア(AP) Photo By AP
 21年東京五輪の女子マラソンに出場した選手が、開催中のパリ五輪では短距離の100メートルに出場し、話題になっている。
 南大西洋の小国・ソロモン諸島から出場したシャロン・フィリスア(30)は今大会、100メートルでエントリー。2日の1次予選4組に臨んだが、レースでは9人中最下位に終わり、敗退した。14秒31のタイムは、昨年の世界選手権で同種目を制したリチャードソン(米国)の自己ベストと比較し、3秒36遅いタイムだったが、自己ベストでもあった。

 フィリスアの走りについて、AP通信は、「スタート台に立つ時は短距離走者のように見え、そうであるように振る舞った。しかし号砲が鳴ると、短距離走に挑戦しようとしているマラソン選手だった」と伝えている。

 今大会はフィリスアにとって3度目の五輪だった。しかし、出場種目は大会ごとにまったく異なるという、異色の五輪キャリアを持つ。16年リオデジャネイロ大会では5000メートルに出場。21年東京大会はマラソンに出場し、3時間2分10秒で72位で完走していた。今大会は東京大会に続き、開会式で旗手を務めた。

 長距離で数々のナショナルレコードを持ち、もともとは長距離選手のフィリスア。それが今回、短距離で出場したのには、小国ならではの事情があった。長距離種目で出場権を逃した同選手に対し、同国オリンピック委員会はワイルドカードでの出場を提案した。ワイルドカードは出場資格を得られなかった小国の選手にも、母国を代表して五輪出場のチャンスを得られるという救済措置的な出場枠。しかし、フィリスアに提示された枠は長距離種目ではなく、同じ陸上でも最短距離のスプリント戦、100メートルだった。

 同国には昨年の世界選手権にも出たトップスプリンターのジョビタ・アルニアがいるが、今回は出場資格を与えられておらず、物議を醸していた。

 得意種目ではない短距離で五輪に挑戦したフィリスア。SNSには「パリ五輪のムサンバニだ」と、00年シドニー五輪に赤道ギニアから競泳で出場し、溺れそうな泳ぎから“うなぎのムサンバニ”の愛称で有名になったバスケットボール選手を思い出す投稿も。また「ウサイン・ボルトやケネニサ・ベケレのように、これまでで最も万能なランナー」と、その種目幅の広さを称える声もあった。

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