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なぜ自律神経失調症に「漢方薬」がおすすめなのか。すぐ買える市販品一覧はコレ[薬剤師監修]

2024年08月28日 09:00

なぜ自律神経失調症に「漢方薬」がおすすめなのか。すぐ買える市販品一覧はコレ[薬剤師監修]
最近ずっと体の調子がスッキリしない、だるいと思ったら、それは自律神経失調症かもしれません。 自律神経の不調には漢方薬が活…

最近ずっと体の調子がスッキリしない、だるいと思ったら、それは自律神経失調症かもしれません。

自律神経の不調には漢方薬が活用できることがあります。毎日忙しくて病院に行く時間が取れない場合などは、ドラッグストアや薬局で手に入る市販の漢方薬を試してみるのもひとつの方法です。

この記事では、自律神経失調症に効果があると言われる市販の漢方薬をご紹介します。自分に合った薬を見つけるために、ぜひ参考にしてみてください。

自律神経失調症とは。「なんだか調子が悪い」が続く

全身の倦怠感やめまい、憂うつが続くなど、何となく心身の調子が悪い状態が続くことはありませんか。こうした心身のバランスが崩れた状態を、自律神経失調症といいます。

自律神経には交感神経と副交感神経があります。これらの神経は心臓を動かしたり、呼吸をしたりなど、自動的に体の機能を正常に保っています。

何らかの原因で自律神経が正しく機能しなくなると、さまざまな不調を感じるようになり、日常生活に支障が出てくるようになります。

自律神経失調症の主な症状

自律神経失調症では、主に次のような症状があらわれます。

  • 耳鳴りやめまい、立ち眩みがする
  • 動機・息切れがある
  • 手足が冷える
  • 体がだるい
  • のどが詰まった感じがする
  • 汗がだらだら出る

症状の出方は人それぞれで異なり、複数の症状が同時に現れることもあります。また、時間の経過によって症状が置き換わったり、変化したりすることも少なくありません。

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自律神経失調症でよくある原因

自律神経失調症は、過剰なストレス、生活リズムの乱れ、環境の変化などの要因が重なることによって発症します。

  • 睡眠不足
  • 不規則な食事
  • 運動不足
  • 精神的ストレス
  • 気温や騒音などの物理的なストレス
  • ホルモンの変動(思春期や更年期)

自律神経は交感神経と副交感神経で構成されており、24時間周期で切り替えが行われていますが、睡眠不足やストレスなどが続くと、この切り替えがうまく働かなくなります。

このバランスが崩れが、心身に症状として現れるのです。

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自律神経失調症に漢方薬が用いられる理由

自律神経失調症には、生活習慣を整え、それぞれの症状に合わせた治療が大切になりますが、漢方薬を用いた治療も有効であるとされています。

漢方薬がなぜ有効なのか解説していきましょう。

漢方薬とは

薬効があるとされる植物や自然現象でできたミネラル、動物などを蒸したり乾燥したりして作った薬を「生薬」といいます。

甘草、桂皮、葛根などという名前は聞いたことがある方もいるかと思いますが、こうした生薬が漢方薬の原料であり、生薬を2つ以上組み合わせて作ったものが漢方薬となります。

漢方薬は自律神経を整える?

自律神経失調症を改善するには、体のバランスや調子を整えることが大切であるため、漢方薬が適していると言われています。

頭痛や腹痛など、ひとつの症状や病気に対して直接的に働きかけるのが西洋医学の薬です。

反対に、漢方薬は1剤に複数の有効成分が含まれているため多様な症状に効き、体質を改善するなど根本からの解消を目指すのが大きな特徴です。

自律神経失調症に用いられる漢方薬一覧【市販品】

それでは、自律神経失調症に用いられる漢方薬にはどんなものがあるのか見てみましょう。

それぞれの漢方薬の効能や特徴などをしっかり理解して、どんな症状にどの漢方薬を用いたらいいのか、ぜひ参考にしてみてください。

桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)

桂枝加龍骨牡蠣湯は、神経症をはじめ、子どもの夜泣きや夜尿症、疲れやすい、元気がないなどの症状を改善します。

効能:神経質、不眠症、小児夜泣き、夜尿症、眼精疲労、神経症

特徴:神経の高ぶりを鎮めて不安を取り除き、気力をあげて精神を安定させます。

体質やタイプ:体力中等度以下。疲れやすく、神経過敏で、興奮しやすいタイプ

柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)

柴胡桂枝乾姜湯は、熱を下げたり、神経の疲れを癒したりして、心と体の状態を改善します。

効能:更年期障害、血の道症、神経症、不眠症

特徴:炎症をしずめたり、熱や痛みを発散させる効果があり、気分を落ち着かせます

体質やタイプ:体力虚弱。冷え症で貧血気味、動悸や息切れがあり、神経過敏なタイプ

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

柴胡加竜骨牡蛎湯は、高血圧や動脈硬化にともなう諸症状や、神経の高ぶりを鎮めて、心と体の状態を改善します。

効能:高血圧症、動脈硬化症、神経衰弱症、てんかん、ヒステリー、小児夜啼症

特徴:体の炎症をしずめ、気分を落ち着かせたり、胸のつかえ感を改善します

体質やタイプ:比較的体力があり、心悸亢進や不眠、いらだち等があるタイプ

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

半夏厚朴湯は、心と体がともに疲れやすく、繊細で冷え症な症状を改善します。とくに、のどのつかえ感には有効とされています。

効能:不安神経症、神経性胃炎、つわり、せき、神経性食道狭窄症、不眠症

特徴:のどのつかえ感や吐き気を抑え、気分を落ち着かせるなどの鎮静作用があります

体質やタイプ:体力虚弱で、冷えやのどのつかえ感がある、抑うつ気味なタイプ

加味逍遙散(かみしょうようさん)

半夏厚朴湯は、女性の月経異常や血流障害などの症状に有効で、疲れやすい、イライラ、不安感などを改善します。

効能:冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害

特徴:血流を改善して体を温めたり、痛みをやわらげたり、体内の余分な水分を取り除くことに効果を発揮します

体質やタイプ:体力虚弱で体が冷えやすく、血流が停滞してのぼせたりイライラしたりするタイプ

加味帰脾湯(かみきひとう)

加味帰脾湯は、弱っている胃腸を整え、貧血気味な症状や、イライラや不安で寝つきが悪くなっている状態を改善します。

効能:貧血、不眠症、精神不安、神経症

特徴:弱っている胃腸を整えて、貧血の症状や不安な気分などを落ち着かせます

体質やタイプ:体力虚弱で、血流不足による貧血症状や心身疲労になりがちなタイプ

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

補中益気湯は、疲れや食欲不振、胃弱、長びくカゼなどで体力が弱っている状態を改善します。

効能:夏やせ、病後の体力増強、食欲不振など

特徴:滋養強壮に作用し、炎症を抑えて血行をよくし、貧血症状を改善します

体質やタイプ:体力虚弱で、心身疲労になりがちなタイプ

抑肝散(よくかんさん)

抑肝散は、イライラや不眠などの精神疾患、あるいはけいれんや子供の夜なき、ひきつけなどを改善します。

効能:神経症、不眠症、小児夜なきなど

特徴:熱や炎症をさまし、筋肉の緊張をゆるめたり、気分を整えて動悸をしずめたり、血行を改善します

体質やタイプ:やや体力虚弱で、血流不足による貧血状態や、イライラ、緊張、不安になりやすいタイプ

抑肝散化陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)

抑肝散化陳皮半夏は、イライラや不眠、手足のふるえ、けいれん、子供の夜なき、ひきつけなどを改善します。 

効能:神経症、不眠症、小児夜なきなど

特徴:熱や炎症をさまし、筋肉の緊張をゆるめたり、気分を整えて動悸をしずめたり、血行を改善します

体質やタイプ:体力虚弱で、イライラや不安になりやすいタイプ

漢方薬にも副作用はある。服用時の注意点

原料が植物などであるため、西洋医学の薬とちがって副作用などないように思われがちですが、飲み方を間違えると本来の効果が得られないだけでなく、体にもよくありません。

漢方薬を飲むときに注意すべき点について解説しますので、飲む前に参考にしてくださいね。

漢方薬同士の組み合わせ

それぞれの人の体質やタイプに合わせて、生薬を2つ以上組み合わせたものが漢方薬です。

生薬の中には、同時に飲むとかえって毒になるものもあるため、慎重に組み合わせを考える必要があります。

漢方薬にも副作用はある

生薬が成分であるため副作用はないと思われがちですが、漢方薬は医薬品であるため副作用が起こる場合があります。

発熱したり息苦しくなったりと、体調がいつもと違うと感じたら服用はやめて医師や看護師に相談しましょう。

他の薬と一緒に飲むときは必ず医師に相談を

持病などの薬を飲んでいる場合、さらに漢方薬を飲んでもいいのか気になると思います。

新たに漢方薬が処方される場合には、服用する前に必ず医師に相談してください。処方薬だけでなく市販薬も同様です。

正しい飲み方で飲む

漢方薬は、食前あるいは食間の空腹時に飲みます。苦かったらお湯で溶かしてから飲んでも問題ありません。先に水やお湯を口含んでから粉を注ぎ飲むと、飲みやすいですよ。

なお、漢方薬は効果が現れるのに時間がかかり、1~2週間程度かかる場合もあります。

自律神経の乱れは漢方薬で「根本解決」を

自律神経失調症に効く漢方薬をご紹介してきましたが、自分の体質やタイプ、症状に合う漢方薬は見つかりそうですか?

ドラッグストアや薬局に行って、自律神経失調症に効くと言われている市販の漢方薬を探してみましょう。

普段服用している薬がある場合や、自分の体質にあった漢方薬がわからないときには、医師や薬剤師に相談してみてください。

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監修者プロフィール

あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師
碇 純子(いかり すみこ)

薬剤師・元漢方薬生薬認定薬剤師 / 修士(薬学) / 博士(理学) 神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。

<Edit:編集部>

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