【内田雅也の追球】危うい「4-0」悪夢振り払った追加点

2022年04月25日 08:00

野球

【内田雅也の追球】危うい「4-0」悪夢振り払った追加点
<ヤ・神>6回1死一塁、近本は二盗を決める(撮影・大森 寛明) Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   阪神11-3ヤクルト ( 2022年4月24日    神宮 )】 少し前、序盤の4―0は「危うい」と書いた。19日DeNA戦(横浜)で2回表で4―0とリードしながら4―5と逆転負けした試合だった。
 もう一度紹介すると、元阪神監督の岡田彰布が<チーム内に「もう勝った」という空気が生まれる。これが危ない。「次の1点を失ったら流れが相手に行くぞ」と引き締めるのだが――>と著書『そら、そうよ~勝つ理由、負ける理由』(宝島社)に書いている。油断大敵というわけだ。

 この夜は1回表に佐藤輝明、中野拓夢に2ランが出て4―0とした。次の得点を取るか失うかで流れが決まる。3回表の追加点が大きかった。

 この回先頭の大山悠輔が昔で言うノースリー(3ボール―0ストライク)から左翼線二塁打を放って口火を切った。後の連打など2点を呼んだ。

 カウント別打撃成績で大山は今季、3―0から初安打。プロ入りから昨年まで5シーズンで通算7打数3安打。シーズン1本あるかないか、という珍しい安打だった。

 3―0からの打撃は積極性だけでは成功しない。打者絶対有利でどうしても力んでしまうからだ。冷静さも含め、いい精神状態なのだろう。この走塁で負傷し退いたのは心配だが、4番らしさが戻ってきた。

 さらに流れで言えば、4回裏に2点を失い、再びリードが4点となった後、6回表の1点も大きい。近本光司の功労である。1死から四球で出て二盗―悪送球で一気に三進。次打者糸原健斗の遊ゴロ(打点付き)で生還したのだ。相手遊撃手が弾いたのは好走ゆえの焦りで、失策がなくても本塁は悠々セーフだった。

 近本は前日まで5試合で19打数1安打。前夜からこの夜の第3打席まで7打席連続、回の先頭打者として凡退と不振が極まっていたが、足で勝利に貢献したわけである。

 開幕戦でこのヤクルトに7点リードから逆転負けを喫し、泥沼の連敗地獄に落ちた。あの試合は6回以降、毎回の9失点していた。この夜は6回から渡辺雄大(今季9試合無失点)、ラウル・アルカンタラ(5試合連続無失点)と救援陣が締め、8点リードの9回を岩崎優が締めた。

 開幕からちょうど1カ月、悪夢払拭(ふっしょく)の春雨になるかもしれない。 =敬称略=(編集委員)

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